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「もう10連勤?かな。それなのにこの間伊吹さんがまたやらかしたとかで嘆いてましたよ?桔梗さんのためにも、ちゃんと伊吹さんのこと見張っててくださいね」
『………』
「それか、志摩さんから隊長に休むよう進言してください」
未だに黙ったままの志摩は、ようやくアルコールに口をつけて喉を鳴らした。
『……そういう立花はちゃんと休んでるのか?』
「へ?」
桔梗隊長の話に一切触れる事をしなかった志摩に違和感を感じた。
気恥しいから話題を変えたかったのだろうか。
『無理するなよ。現場で倒れられても困る』
「あははっ、大丈夫ですよ。倒れるならちゃんと家で倒れます」
いつもの志摩のスタンスで、冗談めかして言ったのかと思ったのに、
『そういうんじゃなくて、本気で心配してるんだ。』
どうして今そんなに真剣な目をするのか。
まるでわからない。
「…ありがとうございます。」
なんと返せばいいのか、それしか返す言葉が見つからなかった。
職務中なら何度も合わせてきた真剣な眼差しも、
こうして向けられると何故だか見つめ返すことができない。
『あー、、心配だとか言って夜中に押しかけて悪かったな。』
矛盾してる、なんて頭を掻きながら立ち上がる彼はどこか焦っているようで。
コートも鞄も、私が手渡す前に持ち主の元へ帰っていた。
『じゃあ、おやすみ。休める時、ちゃんと休めよ。』
帰り際にもう一度優しく念押しをしてから、志摩さんは帰っていった。
彼が帰ってしまった途端、急激な睡魔に襲われる。身体は正直だ。
本当は随分我慢していたのかもしれない。
それでも会いたかったのは
彼だから。
志摩さんだから、会いたかった。
そんな私の気持ちなんて、彼は知りもしないんだろうけれど。
瞳を閉じると、見送った志摩の背中が浮かんで
暗闇と一緒に静かに消えていった。
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およめさん(プロフ) - 宮本麻衣さん» コメント、そして嬉しいお言葉ありがとうございます!更新が遅くはなってしまうのですが、これからも見守って頂けると嬉しいです。 (2021年4月12日 23時) (レス) id: 03709131c6 (このIDを非表示/違反報告)
宮本麻衣(プロフ) - こういうお話は私は読んだことがないので、とても嬉しいですし読む時ワクワクしました!これからも自分のペースで頑張ってください。応援しています。 (2021年4月7日 18時) (レス) id: 3d47ea81cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:およめさん | 作成日時:2021年1月5日 21時