夜廻66.色も形も ページ38
パステルカラーの紫色のワンピース
夏姉に薦められて買ったものだ
鏡の前で身形を整えるとぎこちなく笑ってみた
『行ってきます』
スケッチブックと筆記用具。軽食が入った
バッグを掴むと、私はドアを開けた
天気予報通りの快晴
通りすぎた風にワンピースのひだが揺れる
やっぱり青空はいい
久方振りに感じる心地よさを胸に、私は公園への道を歩んだ
街の喧騒。はしゃぐ子供の声
全てが酷く久しぶりに聞いた物に思える
「‥‥水無月か?」
通り過ぎる車を横目に歩いていると、前方から声がかかった
『国木田さん!
これからお仕事ですか?』
「あぁ。
お前は今日はバイトは無いのか?」
『はい、これから散歩にでも行こうと思って
天気も良い事ですし』
「‥‥そうか」
何か言いたげに視線をさ迷わせる国木田さん
『どうかしましたか?』
「いや‥‥なんでもない
そろそろ失礼する」
早足で行ってしまう国木田さんを、私は首をかしげながら見送った
__
(出掛けるならポートマフィアには気を付けろ、
そう言いたい所だったが‥‥)
くっと眉間に皺を寄せる国木田
(‥‥もしかするとポートマフィアの名前を出す
ことで、精神に余計な負担を掛けてしまうかも
しれない
いや、それにしてもやはり安全を優先すべき
だったのでは‥‥)
「お早うございます。国木田さん
あれ、国木田さん」
出勤してきた国木田に声をかけた敦が訝しげな表情になる
「国木田さん。そんなにメガネをカチャカチャ
させてたら、留め具のネジが緩んでしまう
んじゃ‥‥」
「黙れ小僧! 俺は動揺などしていない!!」
「えぇぇ!?」
____
『‥‥綺麗』
柔らかな光の中には、幾つもの花が照らされている
澄んだ空気の公園は、平日ということもあってか人が少なかった
私はしゃがみこんで、花をまじまじと観察する
『‥‥デザートの考案に使えないかな』
一口に花と言っても、色々な形や色がある
『‥‥この白色の花は敦かな
小ぶりの水色は泉さん』
気がつけば、色とりどりの花に、近しい人達を重ね始めていた
『夏姉はオレンジの花
華やかな赤いやつが与謝野さん
尖った藍色のやつは国木田さん
ぴったりくっついてるやつは谷崎さんと
ナオミさん
濃いピンクのは‥‥江戸川さんかな
宮沢さんは黄色
太宰さんはあの青い花』
指差して例えていく内に、皆さんの顔が
ぼんやり浮かぶ
夜廻67.それが彼等の任務だから→←夜廻65.bitter or sweet
450人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんず(プロフ) - ユイさん» ユイ様、コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです! (2018年4月8日 10時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - おもしろかったです (2018年4月8日 1時) (レス) id: e31a251f71 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» ありがとうございます!(^-^) (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
「名もなき贖罪の銃士の少女」(プロフ) - 良かったです!これからも頑張って下さい! (2018年4月4日 20時) (レス) id: bb589a0fac (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 「名もなき贖罪の銃士の少女」さん» 「名も無き贖罪の銃士の少女」様、イメ画ありがとうございます!とっても嬉しいメッセージまで添えて頂いて、にやけそうになりましたが、自分で足を踏んづけてこらえました((近々載させて頂きます!本当にありがとうございました! (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんず | 作成日時:2018年3月16日 19時