夜廻６４.私には ページ36
あがった声に、夏は振り上げていた拳をピタリと止めた
『私、痛いの とっても痛い
こころが痛い。痛いよ夏姉‥‥』
ますます泣きじゃくるAに夏は困り果てた
＿＿ポートマフィアで何かあったのか
それを今聞いても、きっと答えてくれない
答えてくれるかも知れないが、それは余計に
Aの傷口を広げることになるのではないかと、夏は危惧した
「‥‥大丈夫だよAちゃん
ここにちゃんといるから
しばらくバイトはお休みしよっか」
夏の言葉に、Aは真っ赤に泣き腫らした瞳を上げて、ふるふると顔をふった
『‥‥明日から、ちゃんと行く
かなり休んだのに、これ以上迷惑かけられない
ちゃんと行くから』
「Aちゃん‥‥‥」
『私、今から夏姉の家に帰っても良い？
やっと帰ってこれたの、だめかな』
「‥‥ううん。もちろん大丈夫よ
皆さんに話して準備してくるね」
そう告げると、夏は医務室を出た
途端に向けられる幾つもの視線
「夏さん！Aは‥‥
「今から連れて帰ります
‥‥かなり混乱してるみたいなので、落ち着く
まではその話は避けてもらっても大丈夫です
か？」
その言葉に国木田は与謝野の方を向いた
「そうだねェ。精神的に混乱してるなら、無理
に話させるのは良くない
落ち着くまでそっとしておくのが妥当さ」
「すみません‥‥後日、改めてお礼に伺います
ね。」
テンプレートの様な言葉を口に出すと、夏は帰り支度を始める
泉は、その服を掴んで引き留めたい衝動を必死におさえた
＿＿それは、私には頼れないことなの？
＿＿私には、支えになれないの？
＿＿私は、友達と思われてるの？
我が儘な感情だと分かっている故に
泉は、白く成る程手をきつく握り締めた
＿＿
＿
それからの数日間
Aは本当に様子が可笑しかった
いつも何処か上の空で、自分の手のひらを見詰めながらぼんやりとしている
そのくせ、仕事にはのめり込む様に打ち込み、
新しいメニュー考案も怒涛の勢いで書き出していた
周りの従業員は、始めこそAの無事の帰還を喜んでいたが、しばらくすると本気で彼女の事が心配になり始めた
しかし、夏からその事については触れるな、と
お達しが来ているため、質問する事も叶わない
当の夏といえば、Aの事が心配になりすぎた故の上の空で、注文表にまで彼女の名前を書いてしまう程だった
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りんず(プロフ) - ユイさん» ユイ様、コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！ (2018年4月8日 10時) (
レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - おもしろかったです (2018年4月8日 1時) (レス) id: e31a251f71 (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - ｢名もなき贖罪の銃士の少女｣さん» ありがとうございます！(^-^) (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
｢名もなき贖罪の銃士の少女｣(プロフ) - 良かったです！これからも頑張って下さい！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: bb589a0fac (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - ｢名もなき贖罪の銃士の少女｣さん» 「名も無き贖罪の銃士の少女」様、イメ画ありがとうございます！とっても嬉しいメッセージまで添えて頂いて、にやけそうになりましたが、自分で足を踏んづけてこらえました((近々載させて頂きます！本当にありがとうございました！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんず
| 作成日時：2018年3月16日 19時
