社長のネコごはん(2) ページ49
首筋から。
快楽が全身を駆け巡る。
「あっ、あっ、はあぁ……! だ、だめ……!」
「ふん。まあ、良い……」
顔を離し、首につけたキスマークを眺める諭吉。
あの時、レイヤが一方的に手を離したことに。
傷付き、怒っているのかと思いきや。
その表情は、充分に満たされように。
薄い笑みさえ浮かべている。
そこで。
レイヤは、やっと気づいた。
この男は、最初からわかっていたのだ。
社長室を出た時、すでに。
社内に人が大勢残っている気配を、察知していた。
その上で、あえて手を繋いだのだ。
次の扉を開けた時。
視線を向けた全員に、繋いだ手を見せつけるように……。
「ゆ、諭吉さんって……、たまに……」
「?」
「性格、悪い……」
「……」
諭吉が、やれやれ、とため息をつきながら。
レイヤの手を握ってみせる。
そして、
「あの時、レイヤの手を強く握り……、例えレイヤが離そうとしても、絶対にそれを許さぬことも出来たが……、やめておいた。『性格が悪い』のでな」
「!?」
「愛想を尽かされたくはない。『性格が悪い』などと言われたならば、改善は必須。より良き性格の持ち主と言われるよう、善処しよう」
言いながら、握った手に力を込めて。
「これで良いな? 性格の良い福沢諭吉は、レイヤが何を言おうと、どう足掻こうと、決してこの手を離さぬぞ」
「!」
少し痛いくらいの、諭吉の握力。
けれど今。
唇に、耳に、首筋に、情熱的なキスをされ。
見つめ合うレイヤにとっては。
その痛みすら、体の奥を熱く溶かす、刺激となって。
「それでは、レイヤ。ようやく夕食だ」
「……え?」
「待ちわびたぞ。耐え難い空腹を、素知らぬ顔でやり過ごし……」
「で、でも、さっきファミレスでいっぱい食べて……」
「言ったはずだ、レイヤ。『私は、レイヤが食べたい』、と……」
「!!」
その声に。
その瞳に。
その、愛に……。
レイヤは、繋いだ手を握り返して。
諭吉を見つめ、頷いた。
どうぞ……
たっぷり……
召し上がれ…………
(おしまい!)
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カナコ(プロフ) - ライさん» ありがとうございます!!!!こんなコメントいただけて、嬉しくて涙出ました。愛読してくれる方に楽しんでもらえるよう、マイペースながらも頑張りたいと思います! (2019年6月6日 21時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 好き!!!!!もう、本当、そーゆーところ大好きです!愛読し続けます (2019年6月5日 13時) (レス) id: c9f19c4ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナコ | 作成日時:2019年6月5日 11時