国木田のファミレス(13) ページ33
家で待っているはずの妹の出現に。
谷崎は、目を白黒させて。
「ナ、ナオミ!? 一体どうして……? 先に家に帰ったはずじゃ……」
「お兄様のことを、お待ちしておりましたのよ! 一階の喫茶店で、皆さんと一緒に!」
「……皆さん?」
しがみつく、ナオミの頭の向こう。
探偵社に入って来たのは、社長秘書・春野綺羅子。
のみならず。
共に勤務する事務員たちが、ぞろぞろと入室する。
つい先程まで。
月締めの業務で、阿鼻叫喚の地獄絵図を再現していた事務員たち。
しかし、今は。
明るく、ほがらかに、かしましく。
出勤時間のように、一堂に会する。
ナオミの手が、当たり前のように、谷崎の服の裾から侵入し。
「事務の皆さんに誘われましたの。月締めが無事に終わったから、喫茶店で、打ち上げのお茶をするって」
「え、じゃあ、ナオミも喫茶店に……、って、うわっ、ちょ、そこは……!」
「ええ、そうですわ。お兄様のお仕事が終わるまで、少しでもお兄様の側にいたくて……、今までずっと、お店で待っていましたのよ?」
「そ、それならちょうど良かった。これから皆で、一緒に夕飯に……、あ、こら、待っ、ひえぇ!」
「もう! いつまで経っても、お兄様が降りて来ないんですもの! おまけに、帰ったはずの社員さんが、次々とお戻りになるのが見えて……。とっても気になるので、社に戻ってみましょう、って、春野さんが……」
「あ、それで事務員さんたち、皆して戻って……、あっ、ああっ、んっ、くううぅ!」
「でも、良かった! これから皆で、お夕食に行くことになっていたんですね! この場にいる全員でお夕食だなんて、楽しみですわー! さあ、お兄様、参りましょう! 皆で!」
「へ!? いやいや、さすがにこの人数は……、はあっ、ひゃあん、うっ、うあああああぁぁ……!」
谷崎に、質問も提案も、常識を加味した発言も。
何一つ、最後まで言い切ることを許さない。
絶妙な指使いの妹であった。
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カナコ(プロフ) - ライさん» ありがとうございます!!!!こんなコメントいただけて、嬉しくて涙出ました。愛読してくれる方に楽しんでもらえるよう、マイペースながらも頑張りたいと思います! (2019年6月6日 21時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 好き!!!!!もう、本当、そーゆーところ大好きです!愛読し続けます (2019年6月5日 13時) (レス) id: c9f19c4ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カナコ | 作成日時:2019年6月5日 11時