検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:9,134 hit

国木田のファミレス(13) ページ33

家で待っているはずの妹の出現に。
谷崎は、目を白黒させて。

「ナ、ナオミ!? 一体どうして……? 先に家に帰ったはずじゃ……」
「お兄様のことを、お待ちしておりましたのよ! 一階の喫茶店で、皆さんと一緒に!」
「……皆さん?」

しがみつく、ナオミの頭の向こう。
探偵社に入って来たのは、社長秘書・春野綺羅子。

のみならず。
共に勤務する事務員たちが、ぞろぞろと入室する。

つい先程まで。
月締めの業務で、阿鼻叫喚の地獄絵図を再現していた事務員たち。

しかし、今は。
明るく、ほがらかに、かしましく。
出勤時間のように、一堂に会する。

ナオミの手が、当たり前のように、谷崎の服の裾から侵入し。

「事務の皆さんに誘われましたの。月締めが無事に終わったから、喫茶店で、打ち上げのお茶をするって」
「え、じゃあ、ナオミも喫茶店に……、って、うわっ、ちょ、そこは……!」

「ええ、そうですわ。お兄様のお仕事が終わるまで、少しでもお兄様の側にいたくて……、今までずっと、お店で待っていましたのよ?」
「そ、それならちょうど良かった。これから皆で、一緒に夕飯に……、あ、こら、待っ、ひえぇ!」

「もう! いつまで経っても、お兄様が降りて来ないんですもの! おまけに、帰ったはずの社員さんが、次々とお戻りになるのが見えて……。とっても気になるので、社に戻ってみましょう、って、春野さんが……」
「あ、それで事務員さんたち、皆して戻って……、あっ、ああっ、んっ、くううぅ!」

「でも、良かった! これから皆で、お夕食に行くことになっていたんですね! この場にいる全員でお夕食だなんて、楽しみですわー! さあ、お兄様、参りましょう! 皆で!」
「へ!? いやいや、さすがにこの人数は……、はあっ、ひゃあん、うっ、うあああああぁぁ……!」

谷崎に、質問も提案も、常識を加味した発言も。
何一つ、最後まで言い切ることを許さない。

絶妙な指使いの妹であった。

国木田のファミレス(14)→←国木田のファミレス(12)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
設定タグ:文スト , 福沢諭吉 , 短編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カナコ(プロフ) - ライさん» ありがとうございます!!!!こんなコメントいただけて、嬉しくて涙出ました。愛読してくれる方に楽しんでもらえるよう、マイペースながらも頑張りたいと思います! (2019年6月6日 21時) (レス) id: 596e7dae07 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 好き!!!!!もう、本当、そーゆーところ大好きです!愛読し続けます (2019年6月5日 13時) (レス) id: c9f19c4ce0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:カナコ | 作成日時:2019年6月5日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。