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機械音で睡眠を中断されるのがかわいそうで、とりあえず携帯を持って寝室を出た。
こんな時間に誰だろう、そう思って画面を見ると、
かかってきたのはいのちゃんのお母さんだった。
何か大事な話かも…ってことで、出ることにした。
「はい」
『もしもし、慧?まだ起きてるの?』
「あ、すみません。あの、有岡です。ご無沙汰しております。」
『あら、大貴くん?お久しぶりね。元気?』
相変わらず優しいいのちゃんのお母さん。
挨拶を交わして、いのちゃんのことをお風呂中だというちょっとした嘘でごまかした。
「いのちゃんに折り返し電話するように伝えときましょうか?」
『いいのいいの、大したことないから。またかけ直すわ。』
「そうですか、はい」
そっからしばらく間があいた。
めったに会話する機会のない相手のせいか、短い空白でも緊張しちゃうな…
自分からこの会話を終わらせるべきなのかをためらうと、突然
『…大貴くん。ちょっと聞いてもいいかしら?』と、いのちゃんのお母さんが言って寄越した。
あの子…慧は、大丈夫なの?無理してない?って、電話の向こうの声はとても心細そうだった。
話を聞いてみると、二週間くらい前、いのちゃんが一回実家に帰ったらしい。
なんも前触れなしに、朝早く電車で帰って、自分の部屋にこもってずっと寝てたという。
『ご飯もお昼におかゆ一杯だけ。あの子おかゆ好きじゃないのに、食べたいってお願いしてきたの。
それで、明日早いからって、晩ご飯も食べずにまた家を出てった。
何があった?って聞いても口を利かないのよ。』
そう言って嘆息したいのちゃんのお母さんをそれなりに慰めながらも、頭の中でハテナマークでいっぱいだった。
親を心配させるって、一番やっちゃいけないことじゃんか。いのちゃんなにやってんの?
…一体何があったんだよ?何を隠してんだよ?
疑問と不安がどんどん加速されて、だんだん怒りになってきた。
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作者名:yoku | 作成日時:2019年3月3日 23時