5 ページ5
カードキーでドアを開けると、そこには灯り一つもない、真っ暗な空間だった。
玄関の電気をつけて、きれいに揃ってるいのちゃんのブーツが視野に入り、
あ、やっぱ帰ってるって、ちょっとだけホッとした。
久しぶりに来たいのちゃんの家、ほのかに木のような香りが漂っている。
リビングのソファの上に、いのちゃんのカバンと並んで自分のリュックを置いて、
音を立てないように、忍び足で寝室へ移動。
横目でダイニングテーブルの上に薬袋と使用済みのコップがあるのを見かけた。
どうやら病院には行ってきたみたい。よかった。
デスクライトの微かな明かりで、布団がこんもりとしているのを確認できた。
薬飲んでそのままベッドに入ったかな?
それで俺のメッセージが未読のままなわけか。
ベッドに近寄って、しゃがんで覗き込む。
布団の中にいる、大好きな人の寝顔。
ふるふると震える長いまつげ、スッと通った鼻筋、半開きの唇。
前髪が少し乱れてて、ちょっとだけ見える眉間には縦シワが寄せている。
なんかいのちゃん、苦しそう…
熱出てるかどうか確認するために額を触ってみたら、平熱なのに、汗かいてるのが知らされた。
これって、冷や汗?腹痛まだ続いてるの?
薬飲んでも冷や汗かくほど痛いの?
やっぱりここは起こしてもっかい病院に連れていったほうがいいか…
そう思って、なるべく優しいトーンで呼びかけてみたけど、いのちゃんは目を覚ましてくれなくて、ただ小さい声でうなされて、反対側に寝返りを打った。
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yoku | 作成日時:2019年3月3日 23時