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「大ちゃん」
「ん?」
「ジュースうまかったよ、ありがとう。」洗ったお皿を水切りに置いて蛇口を閉めると、手を乾かしながら席に戻ってくる。
「おう。そんなの言ってくれればいつだって作ってやるよ」
「りんご切るだけでケガする人がよく言うよ〜」いのちゃんはふふって軽く笑った。「あ、絆創膏持っててね。手洗ったら濡れちゃうし、ちゃんと貼り替えるんだよ?」
「分かってるって…子供扱いすんな」
はいはいとあしらって、いのちゃんはいくつかの薬を出して、パチッ、パチッとシートから錠剤を取り出す。
傷の手当をやってた時もそうだったけど、その白くて細長い指の細かく動いてる様子、何回見ても見とれちゃいそう…
手のひらに何種類もの薬を並べて確認して、いのちゃんはへの字口して俺と一瞬だけ目線を合わせると、一気にそれらを飲み込んだ。
「うぅ…まずい…マジ苦げぇ…」顰め面で文句を言うとなぜか俺に手を伸びだして「大ちゃん癒して〜」って。
そこにあったな、やわないのちゃんのかけら。かわいい。
てか王子様と甘えん坊の切り替え速えよ、上手すぎか。
心のなかで悪態をつきながら立ち上がってそっちに近づけば、いのちゃんがぎゅうっと抱き付いてきて、苦い−薬大っ嫌い−って駄々をこねる。
ガキじゃあるまいし!と心のなかでツッコんではいても、よく頑張ったねって頭をよしよししてやると、立っている俺の腰を巻き付いたまま顔をあげて、目をパチパチさせながらぷくぷくの唇を少し突き出した。
「…何?その顔」ことさらにそうとぼけてると、『むっ!』って口をさらに尖らせて目を瞑った。
…ほんっとうに、たちが悪いやつだ。
でも、とことん甘やかしてやると約束したのは俺だし…病人には優しくするべきだし、ね。
キスぐらいは…好きなだけしてあげても、いいかな。
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作者名:yoku | 作成日時:2019年3月3日 23時