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一瞬カッとなったけど、いのちゃんの俺を見てる目がいつもよりキラキラしてて、ライブに来てくれたファンの子達みたいに。
カワイイ。
それしか言葉が思い浮かべない。
やわないのちゃん、かわいさいつもの20%増し。本人に言ったら怒られそうで言わないことにするけど、そのキラキラしてる目に潜る崇拝?憧れ?のようなものを壊すのもかわいそうで、とりあえず適当に調子に合わせてあげよっか。
「こら、今の問診だからちゃんと答えろ」
名取面(?)をしてそう言い返したら、いのちゃんは見て分かるほど真っ赤になって、また顔を隠そうと身を捩ったけど俺に肩を抑えられてるから動けなくて、手で口を覆って目線を逸らした。
「…飲む前に7くらいだったけど、今はゼロ」小声で答えた。
「本当にゼロ?もうどこも痛くない?」
「しいて言えば0.5…?ちょっとヒリヒリしてる感じで」薬、そんなに強いやつじゃないんでって補足した。
わりと真面目に答えてる。目合わせてくんないけど。
「こっち見て話せよ」役柄を意識して(ムズい役なんでわれながら頑張った)やや強引な態度してみると、素直にこっちに目を移した。
「病院、行ったよね?」
「うん…行ったていうか通ってる。」
はっ?通ってるってどういうこと?
そんなの何も聞いてないよ。
「…いつから?」
「ほぇ?」
「通ってるっていつからだよ」
「あ…静岡公演?そのあたりからかな」
…もう2ヶ月も経ってんじゃん。
「……検査やった?」
「うん、やったよ」
「なんの?CT?MRI?」
正直なんの検査受けたのかそんなの気にしてない(それより結果のほうがよっぽど重要だから)。でも今口を開けたら“何で言わなかったの”っていのちゃんを責めるような言葉がポロンと出て来そうだから、自分の頭を冷やすために遠回りしてるだけ。
なのにいのちゃんはふふっと笑いだして、「名取せんせいってヤブ医者なの?そんなの必要ないって」って、俺の左頬を優しくさわさわしながらはぐらかしたから、無性に腹が立つ。
なんだよ。全部話すって言ったじゃん。
なんなんだよ、そんな子供扱いみたいな言い方でごまかしばっかり。
なんで、頼ってくんないんだよ…
ダメだ。頭冷やしきれない。
「…ふざけないでちゃんと言えよ!真剣に聞いてんだよ!」思わずその細い手首を掴んでわめいてたら、いのちゃんがビクッと震えて、赤らんだ目から涙が零れそうに潤んだ。
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作者名:yoku | 作成日時:2019年3月3日 23時