【題名のない物語】in x ar (ページ2)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:43,171 hit

2 ページ2

こっちは2コールくらいで出てくれた。

『もしもし、大ちゃん？こんな時間にどしたん？』

「ひかはさ、まだいのちゃんと一緒？」

『ううん、もう家だけど。なんで？』

「いや…今日ずっと連絡取れなくて。あいつ大丈夫なのかなって。」

からかわれないようにわざと何気ない口調で言った。
こんな時でも素直になれない自分は本当に情けない。

『あ～お腹痛いとか言っちゃったもんね、生放送なのにね』
光はくすくす笑って、でも俺をなだめるかのように優しく答えた。

『確かにいつもより元気なかったけど、たぶん平気だと思うよ』
ラジオもちゃんとやりきったし、その後の反省会も最後までいたし、って。
ロケ直後の生放送だったから疲れただけだと思うよって。

「そう…だよね」生返事しかできなかった。

光の慰めに反し、胸の中に生じたモヤモヤ感が膨らんでいくばかり。

『いのちゃん、今日ロケ車で来たんで、帰りは俺のマネに頼んで一緒だったよ。
ちゃんといのちゃんちまでエスコートしたんだから安心して？』

しばらく無言のままでいると、光が軽くため息をついた。

『…あのさ、そんなに心配なら、行けば？』って。
『いのちゃんちの合い鍵、持ってんだろう？』

途方に暮れたような言い方で、背中を押してくれる言葉を。