クズでも生きてて良いだろ？【紫】

き ページ6

Aside



ちょっとここで、昔の話をしようか。

私がなーくんと出会ったのは、1年前。


なーくんが、私のいるクラスに転校生としてやって来たんだよね。



それで、偶然隣の席になっちゃってさ.......。



まぁ、私がクズすぎて隣になってくれる人が居ないだけだけど。


なーくんはさ、天然で凄いイケメンだった。

だから、隣の私に反感を買う人が多かった。



なーくんは天然だから気づいて無かったけど。



悪口とか、どんどんヒートアップして。

私は言われ慣れてるから殆ど気にしなかった。



でも、気にしてあげないとダメみたい……。





ある日。

体育館の裏側に呼ばれた。呼んだのはクラスの一軍女子。


仕方なく行くと、5人くらいの女子が待っていた。




なに。また悪口言うの？さっさとどうぞ。
こっちは暇じゃねぇんだよ。



女子「ねぇ。
あんたって、ホントに「クズ」だよね。」
『.......？』



おもむろに口を開いたと思えばそれ。

クズ？どういうことです？



女子はいつの間にか輪になって、私を囲んでいた。

10個の目から出る視線が痛い。



女子「あら、分からないの？！
ななもりくんと隣になっておいて。」
『いや……それは担任が……』
女子「煩い。」



席を決めたのは担任だし。
貴方達が私の隣にいれば、なーくんは別の席だったよ？

てか、今時席ごときで虐めってダサい。


アンタら、ダサい私はマジで無い、とか言ってるくせになんなの？



女子「運動も出来なくて頭も悪いアンタ。
運動神経抜群の秀才ななもりくん。
2人が釣り合うわけないじゃん。」


痛い所を突かれた。

確かに私は、運動も勉強も出来ない「クズ」なんだ……。



頭から冷水をかけられたような感覚に陥った。



女子「あら？
その顔は分かったのかしら？
金輪際、ななもりくんに近づかないように。」

女子「せいぜい地べたを這っとけば。」




女子「クズが。」



そうまくし立てて、女子は去っていった。

心臓がバクバクしてる。


クズ、なんて初めて言われた。



ブルブルと震える足を動かし、教室に戻ろうとした時。



『あ.......』
な「.......」


ななもりくんと目が合った。

いつからそこにいたの？


盗み聞き？気持ち悪い。



な「ご、ごめん
話してる声が聞こえたからさ……
大丈夫？」



私は黙って通り過ぎる。


どうせ貴方の大丈夫、も嘘なんでしょ？
私みたいなクズにかける言葉なんて無いでしょ。


ほんとに.......死んじゃいたい。

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