紅一点は恋に捕まりました

◎・ ページ28

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阿部「A」

「…亮平くん」

阿部「…はは、本当に、ヴェールみたいだな」


カーテンの隙間から、亮平くんの手が頬に触れる。


ラウ「ね！どうせなら入場からやろうよ！」

目黒「じゃあAちゃんのお父さん役決めないと」

宮舘「一番関係性の深い人かな」

深澤「あ〜そりゃ悩むこともないな」

渡辺「…俺か」

佐久間「俺だな…」

向井「しゃーなしやで？」

深澤「いや俺だろ！？」

岩本「康二は神父さんするんでしょ？(笑)」

ラウ「誰でもいいよ〜ほらほら並んで！」

阿部「A、ほら」

「…うん」


ゆっくり、ゆっくりとふっかの元へ。

さっきからおかしい。何だろう、この感情は。


渡辺「あいつどうした？さっきから」

向井「動きカクカクしてるな」

宮舘「緊張？」

岩本「…まさかだけど」

深澤「ふは、ひでー顔」

「…やばい」


ふっかの隣に並んで、何となく腕を組む。

でもダメだ。これ以上どうにもならない。


深澤「何が？」

「…私、結婚、するの？」

渡辺「はあ？」

目黒「どうしたの今更」

岩本「やっと実感したの？」

佐久間「え、結婚したって？」

阿部「A、今日ずっと心ここにあらずって感じだったもんね」

深澤「お前ね、結婚するんじゃなくて。したんだよ、阿部ちゃんと」

「…そうか。したのか」

ラウ「Aちゃん…結婚式、こんなのじゃ嬉しくない？」

「違うのラウ。想像が、できなかっただけで、」

阿部「…俺は、いつかは挙げたいなって思ってるよ、結婚式。きっとAは、そんなの考えもしてないだろうなって薄々感じてたけど」

「…亮平くん」

阿部「でも今はまだできない。だから、こんな小さなことでも、カーテンのヴェールに夕日のステンドグラスでも、メンバーしかいなくても…いやメンバーだけだから、かな。俺は今、ここで式を挙げたい」






深澤「…よし、気張って歩け」

ラウ「ふっかさん泣きそ〜」

深澤「泣いてねー！」

向井「神父さんのセリフって何！？」

宮舘「はいカンペ」

佐久間「カンペ読んでる神父さんとかやだ〜」

岩本「指環は？せっかくだし交換とか」

目黒「いいね、本物っぽい」

阿部「指環、今日しまってるんだ。どこ入れたっけな」

渡辺「こっち漁るぞ」



引っ越したての荷物が広がる部屋で、
カーテンを頭から被って泣いてる自分が笑える。


笑えて、とても幸せだ。



霞む視界の先。

私たちのいつかが、夕日の向こうに透けている。



／その時を夢みて

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