◎最愛 ページ3
□□□
ホテルの部屋へ到着して、扉を開けた瞬間。
胸へ飛び込んできたのは俺の最愛だった。
「おかえり」
阿部「ただいま、…って、ちょっと違うんじゃない？」
「じゃあ、いらっしゃい？」
阿部「それも違う気がするけど…」
荷物もその場に投げ出して、自分よりも小さな体を抱き締める。
ぎゅうって力を込めて、でも、絶対に壊さないように。
「亮平くん、会いたかった」
時間にして半日程度。
離れていたのなんてほんの僅かだ。
それでも、
阿部「俺も、会いたかった」
物理的な距離って、何かくる。
これが初めてって訳じゃないし、今まで普通のことだったのに。
阿部「伊勢神宮、楽しかった？」
「うん！すごく神聖な空気を味わった感じ。案外人も多くてさあ」
阿部「美味しいもの食べれた？」
「いっぱい食べたよ。ふっかと半分個したりして」
そうだ。旅の相手。
今日、仕事の合間にスマホを覗く度、届いていた写真とメッセージ。
口いっぱいにご飯を頬張る姿や景色を眺める横顔。
それと「楽しそう」や「力抜けてると思う」なんて文言。
阿部「ふっかはちゃんとナビしてくれた？」
「一応ね。ほとんど私が自分で見てたけど」
阿部「安定だなぁ」
「でも久しぶりにふっかとゆっくり話したかも。楽しかったよ」
Aの願い事は阿部ちゃんの幸せらしいよ。
そのメッセージには、少し思考が止まった。
「早く時間たたないかな…」
阿部「え？」
「日付変わるまでまだ時間あるでしょ？何だか今が一番緊張しちゃって、」
阿部「それって期待していいってこと？」
「うっ…期待はしないで…今年はほんとに」
阿部「明日が楽しみ」
「も〜だめだって」
抱き合ったまま過ごす時間は好きだ。
外から来た俺の冷気とAがもつ熱が混ざり合って、だんだんと境目がなくなっていく。
まるで俺たち自身がひとつになるみたいな感覚。
阿部「A、シャワー浴びた？」
「まだだけど？」
阿部「じゃあ一緒に、」
「やだ」
阿部「え、なんで？」
「狭いじゃん。肩くっつけながらシャワー浴びるのとかやだよ」
阿部「どうせ夜はくっついて寝るのに？」
「それとこれは違うの！」
離れようとする腕を引いて頬に唇を寄せる。
阿部「A、好きだよ」
ふっかに問われた俺の願いは、
Aが生涯俺を好きでいてくれること。
「…わたしも、すき」
この願いが叶うことは、ずっと前から知っている。
／俺の幸福
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藤奈(プロフ) - ﾎﾟﾑプリンさん» コメントありがとうございます。少し更新が滞っておりすみません。年末年始でたくさん更新できたらと考えてますので…！今後も楽しんでいただけると嬉しいです！ (2021年12月28日 16時) (
レス) id: a77d152f7f (このIDを非表示/違反報告)
ﾎﾟﾑプリン(プロフ) - これからも更新楽しみにしています！ (2021年12月27日 20時) (レス) @page20 id: 5cce6819d2 (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - 作者さん更新大変なのにいつもありがとうです最近寒くなってきてるので風邪とコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年12月9日 17時) (レス) @page13 id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
藤奈(プロフ) - 美紀さん» いつもコメントありがとうございます。ここから寒い日が続きますが、美紀さんもどうぞお身体に気をつけて。 (2021年12月1日 9時) (レス) id: a77d152f7f (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - 移行おめでとですコロナに気をつけてくださいね (2021年11月28日 11時) (レス) id: 3abf21e40c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤奈
| 作成日時：2021年11月27日 17時
