恋う ページ25
□□□
学校が嫌いだった。
頭よくないし、授業聞いてたってあんまり分かんないし。
でも他の何かを頑張る勇気もなくて、ただ毎日を消費する為に学校に通った。
時々授業をサボって屋上に来た。
雲一つない空は、嫌なこと全部吸い込んでくれるみたいだった。
いつの間にか俺は問題児みたいな扱いになってて、サボった日には俺を連れ戻そうと先生たちが屋上を訪れた。
その中の一人が、Aだった。
「渡辺くん！またここにいた」
渡辺「…先生」
「もう、授業サボっちゃダメって言ったのにまたすぐサボって」
渡辺「だって聞いても分かんないし…だったら聞いてなくても一緒だろ」
「そんなことないよ？それに分からないところがあるなら先生に聞けばいいし」
渡辺「そこまでして勉強しようと思えない」
「んー…じゃあ、お菓子があればどう？」
渡辺「え？」
「私家庭科部の顧問やってるの。て言っても部員は少ないんだけど」
渡辺「へえ」
「渡辺くんは確かバスケ部だったわよね？なら、部活が休みの日でもいいから家庭科室に来て？」
渡辺「何で」
「渡辺くんの好きなお菓子作ってあげる。だから、それ食べながら先生と一緒に勉強しましょ」
渡辺「…教えてくれんの？藤原先生が？」
「ええ。文系科目なら一通り教えられると思うわ。理系は…私も一緒に勉強しながらになるかな？」
渡辺「何だよそれ」
「よし、決まりね。それじゃ次部活が休みの日から早速やりましょう。渡辺くん、何か好きなお菓子はある？」
渡辺「…俺は、」
□□□
「はい。焼けたよ」
渡辺「おう」
家庭科室での補習が始まって2年がたつ。
相変わらず授業態度は不真面目で、ただ勉強の成果かテストの点はそれほど悪くなく、何とか学校生活を送れている。
「渡辺くん、今日は何の勉強？」
渡辺「物理だけど、A分かる？」
「物理かぁ…さすがに専門外」
Aとは教師と生徒の関係。当たり前だけど。
でも俺は、この人に恋をしている。
青に逃げた俺の傍を離れずにいてくれた人。
恩を返したい。愛を伝えたい。
出来るなら、これからも傍にいてほしい。
「あ、阿部先生呼んでみる？」
渡辺「阿部？」
「うん。今なら空いてるはず」
渡辺「…いや、いい。阿部はいい」
「どうして？」
渡辺「だって…俺、勝てないもん」
「そりゃあ専門の人には勝てないよ。ちょっと連絡してくるわね」
せめて卒業までは、傍にいてほしい、ただひとりの人。
□□□
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 716人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藤奈(プロフ) - 彪冴さん» コメントありがとうございます！こちらのパロディはノリと勢いで書いてますのでテンポの良さなら負けません()登場人物全員ポンコツですがよろしくお願いいたします(^o^)シリーズも引き続きお楽しみくださいませ！ (2021年6月13日 12時) (
レス) id: a9ac3107ed (このIDを非表示/違反報告)
彪冴(プロフ) - 紅一点シリーズのあまふわできゅんとくるお話の流れも物凄く大好きなんですけどこのテンポ感と阿部先生の空回り具合が可愛くて可愛くてもう…終始にやにやしながら読ませていただいてます…かわいい…阿部先生とガチ恋勢がとてもかわいいです…… (2021年6月13日 2時) (レス) id: 18c953141a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤奈
| 作成日時：2021年6月12日 18時
