ひみつごと(re) ページ17
□□□
昔話をしよう。
これは、俺とAがまだ初々しい華の社会人1年目の話だ。
「なぁにが華の新社会人だ！ばかやろー！！」
深澤「お姉さん生2つー！！」
大学の同期だった俺とAは、縁もあって同じ高校で教員として働くことになった。
夢と希望を胸に着任して数ヶ月。
仕事は2人ともいい感じにいってる。
それなのに何故俺たちが荒んだ飲み会に興じているかというと、話のテーマに問題があった。
「『守らなきゃいけない子ができた』って何？」
深澤「こっちは『もっとかまってほしかった』だぞ？それで即お別れ。改善する時間もくれねえのかよ…」
「やっぱ学生と社会人じゃうまくいかないんじゃない？」
深澤「社会人同士でもうまくいってないじゃん」
「うるさいな」
お互い恋人に振られた話を肴に飲み明かす。
この頃の俺たちの話題は大体が愚痴で、だけど気を遣わず何でも話せるそんな時間がとても心地よかったんだ。
飲んで飲んで、2人で一緒にへべれけになって、気づいたらどちらかの家で朝を迎えることなんてざらだった。
その日もふらふら歩くAを引きずりながら、バッグから拝借した鍵で勝手に藤原宅へ。
ぐったりした体をソファーに放り投げて、自分は勝手知ったるキッチンで水を飲む。
深澤「A、化粧落とさないのー」
「んー…おとす…」
深澤「洗顔？何かシートとかあんの？」
「テレビ台の下」
深澤「…俺がすんの？」
「うん」
深澤「はぁ…明日文句聞かないからな」
俺だって酔っ払いなんだけど。
なるだけ優しく頬や目元を拭ってやって、最後に柔らかい前髪をすいた。
Aはもうぐっすりで、そのままふにふにと唇をもてあそぶ。
深澤「やわらけー…」
まじまじと見つめて、その顔が整っていることを改めて実感した。
深澤「俺たち、仲良くなりすぎたよなぁ」
『あの子と付き合ったら？』
毎度言われる元カノの台詞も聞き飽きた。
深澤「…好きってなんだろ」
魔が差した。
気づいたら目の前にAの顔があって。
くちびるにはやわらかい感触が残ってた。
□□□
「阿部先生、また私で実験しようとした」
深澤「へーさすが阿部ちゃん」
最近じゃ話のテーマは専らこれ。
何度も恋をして、Aはやっと最後のそれを見つけたようだ。
深澤「俺の最後はいつかなぁ」
「は？何？」
深澤「Aは生涯忘れられないキスってある？」
「はあ？」
俺はあるよ。
□□□
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 716人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藤奈(プロフ) - 彪冴さん» コメントありがとうございます！こちらのパロディはノリと勢いで書いてますのでテンポの良さなら負けません()登場人物全員ポンコツですがよろしくお願いいたします(^o^)シリーズも引き続きお楽しみくださいませ！ (2021年6月13日 12時) (
レス) id: a9ac3107ed (このIDを非表示/違反報告)
彪冴(プロフ) - 紅一点シリーズのあまふわできゅんとくるお話の流れも物凄く大好きなんですけどこのテンポ感と阿部先生の空回り具合が可愛くて可愛くてもう…終始にやにやしながら読ませていただいてます…かわいい…阿部先生とガチ恋勢がとてもかわいいです…… (2021年6月13日 2時) (レス) id: 18c953141a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤奈
| 作成日時：2021年6月12日 18時
