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望side
『望くん！！ともくん帰ってきたよ！』
学校から帰って来ると、先生が飛んできて俺に言った。
望「え、ほんまに…？」
大ルームに行くと、既に子供たちの集団がいた。
囲まれているのは、最後に会った時よりも少し髪がのびたとも。
望「とも…」
おかえり！、集団の中に入ってそう言ってやらへんと…。
そう思うけど無理やった。
それは、囲んでいる人が怖い、っていうんやなくて、ともがあまりに悲しそうな表情をしていたから。
退院して、帰って来れて、嬉しくないん…？
俺は静かに部屋に帰った。
.
.
コンコン
布団に入り、目をつぶろうとしたところで誰かが部屋をノックした。
先生かな？
そう思い扉を開けると、泣きそうな顔をしたともが立っていた。
望「とも…」
智「……」
望「どーしたん？部屋入り？」
何も言わない。
黙って俺の言うことを聞いて部屋に入り、そのまま床にペタンと座り込んだ。
智「……ん゛、ちゃ…」
望「ん？」
ようやく喋った！と思ったけど小さくてよく聞こえない。
智「…の゛……ぢゃ…」
俺を呼んでいるのは分かった。
けど声はかすれていて今にも消えそうなくらい小さい。
すると今度は、俯いていた顔を上げて俺の目をじっとみてくる。
望「とも…？声、どーしたん…？」
恐る恐る聞くと、顔をくしゃっと歪め静かに涙を流したともは囁くような声で言った。
智「……こぇ…でぇへ、く、なっ…」
そう言うとまた俯いた。
肩がフルフルと震えている。
とも、泣いてる…。
大丈夫やって、言ってあげへんと…。
いっつも俺にしてくれるみたいに…。
そう思うけど体は動かない。
こえ、でえへんくなった。
彼は泣きながらそういった。
話すことと歌うことが大好きで、泣いてる俺をいつも慰めてくれたとも。
俺はともの優しい声が大好きやったのに、
もう聞かれへんの……？？
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作者名：ひよこ | 作成日時：2019年11月30日 16時
