ジョンデと全部 ページ20
愛されていなかったとは
思わない。
いつもそれ以上がいたってだけだ。
例えば、新しい家の部屋選びも
お土産のケーキを選ぶ順番も
それはまあ、年功序列だとして。
誕生日プレゼントに一番欲しいものを
買ってもらえるのはヒョンだけだった。
どこでも好きな所に進学しなさいと
言われたのもヒョンだけだった。
そうやって段々気づいていった。
自分は一番じゃないって。
やるだけやった勉強も到底敵わなくて
運動だって天才のヒョンに対抗するには
プロのスポーツ選手にでもならないと
相手にされないのは目に見えていた。
なんにもない。
なんにもないから良い子になるしかなかった。
笑うために心の中で毒を吐いた。
真っ黒だった。
それなのにみんな俺のことを
優しくて親切だと慕った。
なんにもわかってないんだなって
バカにしながらも、せっかく慕ってくれる存在を手放すことも出来ない自分自身のことが
とても嫌いだった。
高校の初めてのクラスで
いつも一人の女の子がいた。
女子は群れるから正直浮いていた。
本当は一人でいたかったから
いいなって思った。
きっと彼女は誰かの一番だから
一人でもへっちゃらなんだなって思ってた。
実際Aは誰の一番でもなかった。
一番じゃなくていいから大切に想って欲しい、
そう言えるAが羨ましくて妬ましくて
とても好きだった。
俺が一番大切に想うよ。
この言葉をいつか言おうとその時思った。
Aにも一番に想って欲しい。
たぶん、きっとそうなるんだと信じて疑わなかった。
結局あの人が現れてしまったから
二番の呪いは解けず仕舞いだったけど。
似た者同士みたいな俺たちは
実際ほとんど似ていなかったけど
上手いこと寄り添って生きてきた。
Aは弟になりたかったのかな。
俺はヒョンになりたかったのかな。
羨ましかったけど、それはちょっと違ったし。
生まれてこなければよかった？
それもやっぱり、現実的じゃなかった。
”私のまんま、どうにかならないかな。
どうにかなったら幸せだな”
”ほんとだね。
俺も俺のまんま、どうにかならないかな”
どうしようもなく好きで
どうにかなれればいいなと思って一緒にいた。
結局どうにもならなくて
それでも好きで
明日もきっと好きで
有り余った気持ちと寄り添って生きていくには
日が浅くて傷が深い。
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万(プロフ) - 初めまして、万です。素敵な作品でした。普段コメントを書くのが苦手ですが思わず書きたいほどに！表現が素敵で一種の小説本のようでした。これからも頑張って下さい。 (2019年5月8日 18時) (
レス) id: cc237cd121 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - まーさん» まーさん、いつもありがとうございます^ ^ 苦戦しながらも頑張って書いた甲斐がありました…本当にどうもありがとうございます！とても嬉しいです^ ^ (2017年7月30日 21時) (レス) id: b8bc3155f8 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - とても素敵なお話で、胸が熱くなりました。 (2017年7月30日 14時) (レス) id: e8aee3f1a0 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ﾙｲさん» ルイさん、ありがとうございます。ルイさんの綺麗な言葉でこの作品の価値があがるようです…本当にありがとうございます^ ^ 頑張って書いていてよかったなあと報われました^ ^ (2017年7月23日 9時) (レス) id: b8bc3155f8 (このIDを非表示/違反報告)
ﾙｲ(プロフ) - 完結から大分経ちますが、何度も読み返しては泣いてしまいます。先生の想い出から解き放たれたヒロインは優しい恋人と幸せになれると信じています。きちんとさよなら出来なかったあの夏の呪縛。先生の幸せをひたすら祈ります。すずさんの他作品も本当に大好きです。 (2017年7月23日 3時) (レス) id: f4632540c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず
| 作成日時：2016年10月22日 2時
