# Fischer's **短編集 2

）**　motoki ページ32

「うわ、終わった」


夏の集中豪雨。

それは本当突然やって来ます。

本当、来てほしくないときに。


「なんで今かなぁぁ」


今日に限って傘はないし、天気予報は外れるし。

後ろから改札を通って傘を指して悠々と歩いていく人達。

私はその人達の流れの真ん中に立ち止まる。

後ろからどんどん人が通ってきて本当嫌になる。

仕方ない、濡れて帰ろう。

そう思って飛び出すと


『待って』


私の手首を掴んで引き留める男性。

引き留めると同時に私の手に1本の傘を握らせる。


「え…？」

『使って』


そう言って男性は私の目を見る。

この顔、何処かで…


「あ、ありがとうございます…」


お礼を言うと男性はニコッと笑って人の波に飲まれていった。

私は傘を見つめてあの男性を思い出す。

あ……あの顔って……



＿＿＿＿＿モトキ「モトキでーすw」


「Fischer'sのモトキ…？」


友達の影響で見始めたFischer's。

まさか、あのモトキだったなんて。


「もう1回……会いたい」


けど、もう会えない。




再会なんて、集中豪雨みたいに気まぐれなんだ。

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