呪詛師じゃなくて殺人鬼【呪術廻戦】

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ナイフを握る手がカタカタと震える

殺さなきゃ、俺がやらなきゃ伏黒達が死ぬかもしれない。それだけは嫌だ、守れる命が手の届く範囲にあるんだ。

俺が、Aを殺せば…









「悠仁〜？もしかして、まだ私を殺せない？」


虎「…ｯ」


五「…やっぱり僕がする、悠仁は下がってて」


虎「ｯ大丈夫！先生、大丈夫だから…そこで見ててよ」









不安を煽る顔、しちゃってるかな

でも俺、こんな場面で上手く笑えるほど器用じゃないんだ。ごめんな先生、俺ちゃんとやるからそんな顔しないで。

…もう迷わないって、決めたんだから









「…五条さーん、私最期に悠仁と秘密の話がしたいんだ。もう少し離れてくれない？」


五「無理、何吹き込むか分かんないじゃん」


「提案の話よく聞いてた？悠仁に殺してもらえるなら大人しく死ぬって、私言ったでしょ。今更無駄な足掻きするわけないじゃん」


五「なら別に僕が近くにいても構わないでしょ？」


虎「…俺も最期に、コイツと話したいな…なんて」









俺ってこんなに優柔不断だったっけ









「ゆーじ、ハグしていい？いざ死ぬんだ〜って思ったら、人肌恋しくなっちゃって！」


虎「……Aはさ、」


「私は大好きだよ、皆の事…」


虎「ｯ…！」









ふわりと香る甘い匂い

それを包むようにまた香る鉄の匂い









「悠仁…」









殺せ、殺すんだ、耳を貸すな

心臓をひとつきすればいい、それで全部終わるんだ









「お願い、私を見逃して…？」


「ナイフを落としてくれれば、私は逃げられるの」









耳元で響く掠れたAの声









ナイフを持っていた手は勝手に緩み
するりと音を立てて、地面に落ちていった









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