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自分の心臓の音が、やけに煩く聞こえる
特に驚きもしない五条から離れ、残ったコーヒーを一気に飲み干す。口に広がる苦い味に、美味しさなんて感じたことはない。私とは無縁のはずだったこの味に慣れたのは、紛れもなく私の恋人のせい。
もともと私は、普通に甘いコーヒーが好きだった
「最低な女でしょ、私」
人の恋心を利用して、自分が辛くなる度に縋って
よく理解してるはずなんだ。想い続けても返されない愛情に期待することがどんなに辛いか、特別だと感じさせるような態度が、どれだけ嬉しくて悲しいものか。
分かっているのに、私は五条を利用した
「ははっ、最低だなんて今更じゃない?笑」
「っ……五条に言われると、腹立つ」
「えぇ、酷ーい」
無理して笑ってる理由を聞く気にはならなかった
聞いたらもう、戻れないと思ったから
今の距離感に、仲のいい友人って関係に
よいしょと立ち上がった五条は、また私を抱きしめた
「これからどーすんの?傑とは」
「あー、どうしようかな」
「別れて僕と付き合うのは?」
「それは絶対ない」
ゆらゆらと揺れる感覚が心地いい
でも私達の関係は、仲の良い同級生で同僚で。この関係が今後変わることなんて無いのに、五条は私を抱きしめるのを止めてくれない。何度離れても、また強く抱きしめてくる。
離れないでとは言わず、何度もぎゅっと苦しいほどに
「ねぇ五条」
「ん〜?」
「…いや、なんでもない」
ごめん、ごめんね五条
私はアンタを愛せないんだ
口から出かけたその言葉をグッと堪えたのは
それはあまりにも残酷だと思ったからだ
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時雨 - めっちゃ好きなお話です!こういう読者側が考察できるお話、めっちゃグッとくる!! (7月8日 18時) (レス) id: 2f5eac8809 (このIDを非表示/違反報告)
あ - どういう意味なの?なんで五条じゃダメなの?なんでさっさと別れとかないの?小説書くなら最後まで分かるようにしたほうがいいですよ (2022年8月1日 4時) (レス) @page19 id: c00755ba92 (このIDを非表示/違反報告)
夜風@常に眠い(プロフ) - るきあさん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けて嬉しいです…最後まで読んでくださりありがとうございました! (2022年3月24日 21時) (レス) id: 9708a22072 (このIDを非表示/違反報告)
るきあ(プロフ) - ゥッッッッッ好き (2022年3月23日 7時) (レス) @page21 id: e2065bbc2b (このIDを非表示/違反報告)
みな - 何この話…結局なにがしたかったんだ?意味わからない (2022年2月17日 7時) (レス) @page21 id: dc66df0946 (このIDを非表示/違反報告)
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