なるほど、これが本当の浮気ってやつか【夏油傑】

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すーっと寝息を立てたAにそっと布団をかける

酒のせいで紅く染まってる頬、涙を浮かべていた瞳
そりゃ僕だって立派な成人男性だ、そんな女を目の前に興奮しない方が可笑しいって話だよ。もちろん堪えるけども。

僕が同級生であり同僚である事に感謝して欲しいね









「あー、ったく…」









傑と何かあったのは簡単に予想出来た

だって僕の家にAが来ることなんて滅多にない、それも自分から。酔うほど酒に溺れることだって少ないし、悪戯にキスしてくるような奴でもない。

…いい加減、別れなよ









流石にもう、知らないフリは難しい









僕もこの状況になるのは4、5回目

お願い泊めてって目を見つめられ、家に帰れば咽せ返る程の酒の匂い、誘うようなキスやボディタッチ、落ち着くと見せる光の無い瞳

嫌でも分かる、分からされてしまう









「…複雑だよ、ホントに」









愛してほしいとか、愛してあげたいとか

なんで僕達人間って、自分のしたい されたいを隠すんだろうね。愛したければ愛せばいいし、愛されたければ愛されればいいのに。こんな簡単な事に悩んで、傷ついて、涙を流して。

…簡単すぎるから、きっと出来ないんだろうけど









「んっ…うぅ」


「…ふっ、寝相わっる笑」









視界に入る、濡れた唇









「…怒らないでよね」









ふにっと感触だけが伝わるキス

甘くも苦くも、すっぱくもない
ただそこにあると感じるだけの口付け

自分の唇が妙に熱を帯びて、震えて









あぁ、僕って意外と

笑えるほどにクズなのかもしれないな









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