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*…
「俺らからは逃げられないぞ?」
「No.72194、貴方、名前は?」
「………」
沈黙が続き、私が一向に言う気配が無いからかママが口を開こうとした。
だが、男性の体つきをしたやつが眼前に手を付き出しママを止めた。
痺れを切らしたノウマと呼ばれてた方はいいわ、いきましょう、と言って私の手を掴んだ。
反射的にその大きな手を振り払い、私はママのスカートを握り必死で訴える。
「やめて!ママ助けて!!私、嫌だよ!!まだハウスに、お願、い……」
今まで見たことの無いような冷酷な顔をしたママが私を見下ろしており、徐々に声も途切れていった。
(誰……?いや、これが本当のママ…)
急変したママにぞっとして私はあとずさる。
すると後ろから伸びてきた手が私の頭を丁寧に撫でた。
駄目だ通じない…。ママは敵だ。
私の瞳から暖かい液体が伝う。
歩み寄って来たママは私と同じ視線に屈み、優しく抱き締めた。
「大好きよ、愛しい子。
新しい檻で幸せにね」
「行こう、」
「………、…ノーマン、レイ、エマ」
『ママ』
私の声は誰にも届かなかった。
今度は男の方が私の手を引いて、部屋を出た。
そこから先は覚えていない。
目隠しをされたがもう絶望しきった私は抵抗する気力さえ起きなくて、されるがままにどこかへ連れて行かれた。
車のエンジン音が聞こえたから遠くに行くことが分かったが、場所は特定出来なかった。
何でこうなったんだろ…。
(もし、あの時逃げてたら良かったのかな…)
その思いがよぎって、また我慢していた涙が溢れてくる。
何かが変わっていたのか、代わりに誰かが、こうなっていたのか…。
いや、 “もし” なんてない。結果、エマ達のことを本気で信じなかった自分の負け。
あんなに酷いとは思わないじゃないか。鬼がいるなんて知らない。ママが敵だなんて知りたくなかった。
実際のところ半信半疑だった。急にそんな事言われて100%信じられるなんて人はそうそう居ないと思うけど。
今は、確信できるんだけどな……。
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カルビ(プロフ) - 薙(nagi)さん» あ、え…!!?生きてくださいー!!(笑)私もレウウィス大公強いし考えが結構おかしいところも好きです!かなりサイコパスなとことか…。読んでくださりありがとうございます!! (2019年4月14日 23時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - リウウィス卿が推しの私にこれはあかん………駄目だ…心臓がもた…な………(絶命 (2019年4月14日 22時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - ろろさん» すみません!分かりやすく出来るよう努力します!!理解できてよかったです!私も語彙力高めないとですね…(泣)ありがとうございますぬ(笑)頑張ります (2019年4月6日 23時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
ろろ(プロフ) - 馬鹿な私は語彙力もなければ、理解力もないので難しかったです←失礼もう一回読み直したら分かりました。おもしろいですぬ←ぬってなんやねんがんばってね (2019年4月6日 22時) (レス) id: 8d62b8c277 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - スターフォロワーさん» そう言ってもらえて、とっても嬉しいです!!はい、ありがとうございます!頑張ります!! (2019年4月4日 21時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カルビ | 作成日時:2019年4月3日 19時