ネバーランド ページ25
.*…
ここはどこ……?
冬…、のはずなのに春のような生暖かい風が頬を撫で、髪を揺らす。
決して居心地が悪いものではなかった。
ゆっくり瞼を上げれば水中のようにぶくぶくと泡が立った。
だけど苦しくはない。息もできる。
とても不思議な空間だ。
眼前にいるのはいつものように笑顔のエマ。
「え、マ…?エマ…!!大丈夫?
脱獄は…、皆無事!!?」
「A、大丈夫だよ。」
両手の指を絡め、額を当て合うとエマは目を瞑りそう言った。
「よぉ、A」
「A」
名前を呼ばれて、顔を上げると軽く手を広げて柔く微笑む二人がいた。
途端にエマから離れ、二人の方へ一目散に駆け出し飛び付いた。
そうすれば、ぎゅうぎゅうと強く優しく抱き締めてくれる二人。
そのまま崩れるように膝をついた。
「っ…レイ…!!ノーマン…!!」
「頑張ったね、A」
「待ってろ?もうすぐで助けてやるから」
「うん…!……うんっ…!!」
「「Aー!!」」
溢れた涙を拭い、再び立ち上がって呼ばれた方を向くとドンにギルダ。
ナットやアンナ、トーマにラニオン。
そして奥にはフィル達皆と、キャロルを抱える “ママ” がいた。
「俺達姉弟だろ?信じろ!
絶対助けに行ってやるからな!」
「辛いと思うけど…、無理しないで。
絶対死なないで」
「っ、皆…」
「いらっしゃい、A」
「ママぁ…、」
涙を堪えながら歩み寄って行くと、ママはその大きな体で私を包み込んでくれる。
それがどれほど私を安心させることか。
皆も抱き締めてくれているのが、ママ越しに分かった。
「Aは本当に泣き虫さんね」
そう言って微笑みながらママは私の涙を細長い指で拭ってくれた。
「いい?A。貴方はまだやるべき事がある。泣いては駄目」
「でも…、無理だよ私…。エマも、レイもノーマンも、誰もいない…、」
「大丈夫。貴方は強い子。貴方なら出来るわ。だって、私の可愛い可愛い子供だもの」
「それに貴方は独りじゃない。どこにいても繋がっているわ、皆ここに」
そう言って私の胸を人差し指でママは指した。
皆がいる。独りじゃない。そう考えると心が暖まって自然と笑みが零れた。
「頑張ったわね、A」
「行ってらっしゃい」
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カルビ(プロフ) - 薙(nagi)さん» あ、え…!!?生きてくださいー!!(笑)私もレウウィス大公強いし考えが結構おかしいところも好きです!かなりサイコパスなとことか…。読んでくださりありがとうございます!! (2019年4月14日 23時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - リウウィス卿が推しの私にこれはあかん………駄目だ…心臓がもた…な………(絶命 (2019年4月14日 22時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - ろろさん» すみません!分かりやすく出来るよう努力します!!理解できてよかったです!私も語彙力高めないとですね…(泣)ありがとうございますぬ(笑)頑張ります (2019年4月6日 23時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
ろろ(プロフ) - 馬鹿な私は語彙力もなければ、理解力もないので難しかったです←失礼もう一回読み直したら分かりました。おもしろいですぬ←ぬってなんやねんがんばってね (2019年4月6日 22時) (レス) id: 8d62b8c277 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - スターフォロワーさん» そう言ってもらえて、とっても嬉しいです!!はい、ありがとうございます!頑張ります!! (2019年4月4日 21時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カルビ | 作成日時:2019年4月3日 19時