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ごじゅういち ページ6

「俺たちに助けさせて」

懇願するように言われてしまえば頷くしかなった。
どうして、そんな風に言えるんだろう。
仲良くもないクラスメイトで、変な力を持ってて、怖い目にあったのに。

「...2人は私が不気味じゃないの?」

絞り出した声は震えていた。
まふくんやそらるさんと言い、何故みんな私を否定しないのか。
不思議でしょうがなかった。

「なんで?Aがいなかったら俺ら今ここにおらんかったかもしれん。一生懸命助けてくれた子に対して不気味だなんて思うわけないやん」
「さかたんの言う通り。それにこーんな可愛ええ女の子ことそんな風には思えへんよ」

笑いながらくしゃりと千田君に頭を撫でられ、耐えていた涙がほろりと零れた。

「あーセンラ泣かせた!」
「え!?俺のせいなん!?」

ずっと隠さなければと思っていた。

小学生の頃、友達と遊んでいる時にタチの悪い悪霊に捕まってしまった。
友達が気付かずに、封印されていた依代を壊してしまったのだ。
襲いかかる悪霊に、必死って対抗した。
守らなければ。
私が、やらなきゃ。
けれど私の力などたかが知れていて、あっという間に追い詰められてしまった。
幸い近くで仕事をしていた父が助けてくれたから、私が怪我をしただけで済んだ。

感謝されたい。
そう思って助けたわけではなかったけれど、父に抱えられた私を見る友達の顔は、不気味なものを見るようだった。

怪我が治り学校へ行くと、私を取り巻く環境はガラリと変わっていた。
「芦屋さんは幽霊が見える」
と噂され、避けられた。
更には「幽霊が見えると言ってみんなの気をひきたいだけの嘘つき」とまで言われるようになり、日に日に居場所がなくなっていた。

それを知った両親は私を転校させた。
私は悟ってしまった。
この力は隠さなければならないものだと。
両親は否定した。
困っている人を助けるのが私たちの指名なのだと。

けれど、こんな気持ちになるのなら、私は誰も助けたくない。
嫌われるのなら関わりたくない。

人と接するのが怖くなってしまった。

ごじゅうに→←ごじゅう



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まろまゆこ(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!悩みに悩んだラストだったのでそう言って頂けると嬉しいです(*´ェ`*) (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 素敵な終わり方で感動しました。ありがとうございます。 (2019年4月14日 8時) (レス) id: 4ed3c725ff (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - じゅうさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
じゅう - コメント失礼します。とても面白く、一気読みしました。番外編待ってます!これからも頑張ってください(≧∀≦) (2019年4月14日 4時) (レス) id: 09d3df211f (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - ペンパルさん» ありがとうございます!番外編を予定しておりますので、よろしかったらそちらもよろしくお願い致します(*´ェ`*) (2019年4月13日 20時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まろまゆこ | 作成日時:2019年4月5日 7時

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