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ごじゅう ページ5

「あ、ごめん!」

少しして落ち着いたのか、坂田君が慌てて離れる。

「.....あのぉ、さっきからセンラ空気なんですけどぉ?」

そう言って今度は千田君が私の腕を掴み、グイッと立ち上がらせるとそのまま抱きしめきた。

「せ、千田君!?」
「あーもう...あん時心臓止まるかと思ったわ...」

そうだ、あの時彼は私を抱えて逃げてくれたのだ。

「ごめんね、ありがとう。...重かったよね」
「ぜーんぜん。.....元気になって良かった」

背中を軽くポンポンと叩き、千田君は離れていった。

「Aのこと、まふから聞いた。俺らも言いふらしたりとかは絶対にせぇへん」
「脅かしたりもせんからね」
「...お願いがあんねんけど、な」

目を伏せ、言い淀んだ坂田君はぎゅっと拳を握ってから真っ直ぐ私を見つめてきた。

「俺らも何か手伝えへんかな?」
「.......え?」

手伝う?
何を?

「さかたん、Aちゃん分かっとらんで」
「え!?あ、なんちゅーか、Aみたいに困ってる人助けたいねん」

その言葉に顔が熱くなるのが分かった。
私は誰かを助かるためにやってるんじゃない。

「違うよ!そんな大層なことしてないの!すれ違う人にちょっと何か憑いてても見なかったことにする時もあるし....まだ修行中だから逆に迷惑もかけちゃうし...それに...」

私のただの自己満足なのだ。
力があるから、といって何でもかんでも助けるわけじゃない。
ただの気まぐれだ。

「でも、まふや俺らを助けてくれた。それは何で?」
「そ、れは.....まふくんは辛そうな顔してて命の危険もあったし、千田君や坂田君はあのままにしていたら戻ってこれなくなってたから...」

ギリギリの状態でなければ助けないんだよ。
そうならないと、動けないただの臆病者。
人の目を気にして何もしない、そんな奴だから。

「それではA助けてくれたやん」
「...倒れてもな」

「だからお願いや。Aの力になりたいねん」

そう言われてしまったらもう、何も言えなかった。

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まろまゆこ(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!悩みに悩んだラストだったのでそう言って頂けると嬉しいです(*´ェ`*) (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 素敵な終わり方で感動しました。ありがとうございます。 (2019年4月14日 8時) (レス) id: 4ed3c725ff (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - じゅうさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
じゅう - コメント失礼します。とても面白く、一気読みしました。番外編待ってます!これからも頑張ってください(≧∀≦) (2019年4月14日 4時) (レス) id: 09d3df211f (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - ペンパルさん» ありがとうございます!番外編を予定しておりますので、よろしかったらそちらもよろしくお願い致します(*´ェ`*) (2019年4月13日 20時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まろまゆこ | 作成日時:2019年4月5日 7時

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