ななじゅうよん ページ29
それはまるで刃のように私に襲いかかって来る。
数珠を付けている手でいなすも、ダメージが無いわけではない。
早く、あそこへ連れていかなければ。
結界に加え、術を発動しっぱなしにしているせいで、体力がどんどん削られていく。
分かっていたはずだ、焦りが失敗に繋がると。
少し気を抜いてしまった、その瞬間を彼女は見逃さなかった。
黒い影が私を覆う。
「A！！」
浦田さんの声が聞こえた。
＊
真っ暗な場所。
肌を刺すような冷たさ。
体を縛るように巻き付く影から流れ込んでくるのは誰の記憶？
＊
Aちゃんが、黒いものに覆われてしまった。
『ふふふ、やっと邪魔者がいなくなった。おにいちゃんたちはあたしが見えてるのね？お友達がいっぱい。嬉しい』
笑ってはいるもののその顔は不気味としか言い様がなくて。
ガクガクと震える脚は、全く動いてくれない。
「まふ！しっかりしろ！」
「っ！すみません！」
そらるさんの声にハッとして、お守りを握り直す。
Aちゃんが作ってくれた囲いのおかげでこれ以上は近付いて来れないらしい。
けれど壁のように僕達を守るそれを壊そうと、黒いものが次々と向かってくる。
「まふ、大丈夫か！」
「平気！さかたんは？」
「っ、よゆーや！」
Aちゃんはきっと大丈夫。
きっと、戻ってくる。
あの時もちゃんと帰って来てくれた。
だから、それまでは、
「絶対に僕達が守るからね、うらたさん！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まろまゆこ(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます！悩みに悩んだラストだったのでそう言って頂けると嬉しいです(*´ｪ`*) (2019年4月14日 8時) (
レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 素敵な終わり方で感動しました。ありがとうございます。 (2019年4月14日 8時) (レス) id: 4ed3c725ff (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - じゅうさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
じゅう - コメント失礼します。とても面白く、一気読みしました。番外編待ってます!これからも頑張ってください(≧∀≦) (2019年4月14日 4時) (レス) id: 09d3df211f (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - ペンパルさん» ありがとうございます！番外編を予定しておりますので、よろしかったらそちらもよろしくお願い致します(*´ｪ`*) (2019年4月13日 20時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まろまゆこ | 作成日時：2019年4月5日 7時
