ろくじゅうご ページ20
浦田さんの言葉を思っていたよりも引きずっている自分がいる。
お昼ご飯も少ししか食べられず、まふくんとそらる先輩にとても心配されてしまった。
あんなこと、もう慣れていたはずなのに。
優しい言葉に浸かりすぎて、勘違いしていた。
私は、人とは違うのだ。
暗く沈み込む気持ちを切り替えなくてはと思っていると、スマホにメッセージが届いた。
すぐに確認すると、アパートの賄いさんからお使いのお願いだった。
ちょうどいい。
気分転換も兼ねてついでに気になっていた雑貨屋さんにも寄ってみようかな、と学校を後にした。
*
普段は通らない大通りに差し掛かると、交差点に花が供えられていることに気付いた。
ああ、ここで誰かが...と考えているとそれはぬるりと現れた。
(.....女の子)
全身が血塗れの少女はきっとあの花を手向けられた子だろう。
この世に未練があるのか、そこから全く動かず
成仏、させてあげた方がいいだろう。
けれど、それは私がやることじゃない。
帰って秋音ちゃんに報告しようと、その子から視線を外すと、
「...ヒトリニシナイデ...」
はっきりと聞こえた、少女の叫び。
けれどそれと同時に私の背後から聞こえてきた「...なんで」という戸惑いの声に、反応せざるを得なかった。
「.....う、らたさん」
振り返ると顔面蒼白の浦田さんがいた。
彼の視線は私ではなく、後ろにいる少女に向けられている。
(彼は、ミえてるんだ)
動揺を隠さず揺れ動く翡翠色の瞳。
「あ、あの、大丈夫、ですか?」
浅い呼吸を続ける彼を放っておく事も出来ず、近付いて声を掛けた。
けれど、
「...っ、触るな!」
バシンッ
と差し伸べた手は簡単に払われてしまった。
そう、軽く払われただけのに。
「え.....」
ふらついた私の体は何かに引っ張られ車が行き交う道路へ投げ出された。
117人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まろまゆこ(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!悩みに悩んだラストだったのでそう言って頂けると嬉しいです(*´ェ`*) (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 素敵な終わり方で感動しました。ありがとうございます。 (2019年4月14日 8時) (レス) id: 4ed3c725ff (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - じゅうさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月14日 8時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
じゅう - コメント失礼します。とても面白く、一気読みしました。番外編待ってます!これからも頑張ってください(≧∀≦) (2019年4月14日 4時) (レス) id: 09d3df211f (このIDを非表示/違反報告)
まろまゆこ(プロフ) - ペンパルさん» ありがとうございます!番外編を予定しておりますので、よろしかったらそちらもよろしくお願い致します(*´ェ`*) (2019年4月13日 20時) (レス) id: 0dff0cf5de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まろまゆこ | 作成日時:2019年4月5日 7時