心は繋がっているから２

【何かを追い求めて】 ページ19

妖怪たちは息を乱しながら走ってきて、止まった。
何処か寂し気にただ一点を見つめる妖怪たち。それは、何か一つの目的に向かって突き進んでいるようだった。

一人の妖怪は「本当に良かったのか？」と尋ねた。
沈黙が続いたが、リーダーのような妖怪が「これでいいのです…」と苦し紛れに言った。

彼らの目には涙が浮かんでいた。

何かもどかし気にリーダーと思しき妖怪は振り返った。
そして、「すみませんね…」と小さく見た目に反した優しそうな声で呟いた。

「さあ、いきましょうか」

涙を拭き、堪えながら作ったような笑顔で言った。
何も言わず、妖怪たちはコクリと首を縦に振った。

妖怪たちは宛先もなさそうなのに何処かへと歩いて行った。

Episode57→←Episode56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す