離さないから、絶対に ページ21
「A、明日は本当にごめんね。気をつけて」
「はい、日本についたら連絡します」
「毎日出来る限り連絡するから。もし不安なこととか困ったことがあったらちゃんと言って。僕の知らないところでは泣かないで。いつでも僕を頼って。それから、ご飯もちゃんと食べて、でも他の男の誘いなんて乗っちゃダメだよ！絶対ダメ！後は……」
心配してくれているのが分かるから、黙って耳を傾けて、うん、うん、と頷くことを繰り返す。
その時、再び、外から彼を呼ぶ声がして、扉の方を振り返った私の腕を、彼が引く。
なんだろうと向き直れば、真っ直ぐな視線とぶつかって、余りに強いその表情に、心臓がドキッと跳ねる。
綺麗な顔だと改めて感じて、この特別な存在を前にした自分に、不思議な気持ちになる。
夢のようで
夢ではなくて
そっと近づく彼の顔に目を閉じると、優しい温もりが柔らかく触れた。
押し当てられたまま動かないその口付けは、誓いのキスのようで、私もまた、その長い口付けを静かに受け止めていた。
離れるとすぐに抱き寄せられて、
「離さないから、絶対に」
そう、告げられた。
別れの言葉でも、見送りの言葉でもないそれは、彼の心の奥底から届いた本音のようで、私の胸に大きく響いた。
「離れられないよ」
これも確かに私の本音だった。
この世界に、生活も仕事も責任も、国境も、何のしがらみもない世界があるのだとしたら、今すぐに飛んでいきたい。
でもそんな世界が無いのは知っているし、本当は探す前から諦めている。
それでも、離れたくないと願うことくらい、許されたい。
そのくらい、心は彼を求めているのだから。
「この後仕事なんだ、遅くまで。こんな未練だらけの心境じゃ、何かヘマしそうで怖いよ」
立ち上がりながら、そう零す彼の笑顔はどこか力が無い。
「頑張ってください」
私には、そう応援することでしか、彼の力にはなれない。
だからこそ、笑顔で見送りたかった。
「先に行くね。A、気をつけて」
最後に私の頭を、ポンポンと２度叩いて、彼は振り返ること無く部屋を出ていった。
閉じた扉の向こうで、しばらくして聞こえてきたイトゥクとヨンジュンさんのやり取りに、現実世界が戻ってきたんだと感じた。
私もまた、すぐにその世界へと戻り、歩みを進めていく。
旅立ちは、間もない。
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革ベルト
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井上よじゃ(プロフ) - ★朴有正★さん» こんにちは！私もイトゥクさん大好きなので楽しんで頂けて嬉しいです♪続きは「おかえりと笑って」というタイトルで公開しています。良ければ探してみてください^_^ (2014年5月16日 22時) (
レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
★朴有正★(プロフ) - 私は、イトゥク大好きなんでこの物語はらすごく良かったです出来れば続きが見たいです (2014年5月16日 1時) (レス) id: d1add60b1c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - さやさん» お返事遅くなりすみません！陽だまりのお言葉…とても嬉しいです！ありがとうございます！このシリーズまだまだ続きますので（笑）どうぞたくさん楽しんでください♪ (2013年11月19日 10時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - よじゃさんはじめまして(^^)一気に読ませて頂きました！続編うれしい！(^^)キレイな言葉の数々に心を奪われました(^^*)陽だまりみたいな作品ですね！ (2013年11月12日 7時) (レス) id: 16ab2d69d9 (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - なつぽんさん» わわ！すごく嬉しいお言葉ありがとうございます！胸キュンというか胸ギュギュｗみたいなのが大好きなので、楽しんで頂けてとっても幸せですー！ (2012年10月27日 21時) (レス) id: a8bd2dc9eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：井上よじゃ
| 作成日時：2012年6月30日 16時
