第177話 ページ42
貴方side
ぼたぼたと降ってくる雨をふくこともせず、汚く鼻をすする馬鹿を見て苦笑して
お前の話を、寝ぼけたように静かに聞く
ト:また桜見ようや、一緒に。二人で出かけたりもしたいわ、好きなもんこうたるから。
俺、Aの淹れる紅茶がいっちゃん好きやねん。また淹れてや、仕事は適度にするから。
なぁ、、なぁA、つっかかってこぉへんのか？なぁ、A、ごめん、ごめんな。
すまん、苦労ばっかりかけて、恩返しもなんもできへんままで、、
なんでやろな、俺、アホやから、漠然とお前は生きてくれるやろって、思ってたやんや
またぎゃーぎゃー騒ぎ出すもんやって、なんの確信もないのにな、、、あほやんな
全く持ってその通り。間違いなく馬鹿だな。そういうところが大嫌いなんだよ
でも
貴「お前の、その、優しいところが、大好きだ。
何故だろう、涙が出てしまった。お前に言うつもりのなかったことを言ってしまったからかもしれない
そんなに名前を呼ぶな、返事などもう出来ん
そんなに強く抱きしめるな、痛いから
あぁ、でも、もう何も分からなくなってきたな。けど、何故だろう
暖かいと思える
濃いコーヒーの香りがする。何度も何度もねだられ淹れた、コーヒーの香りがする
そう思った瞬間、ドバドバと何かが通り過ぎていく
大事な部下だと言い張られ、刀を授けてもらって、実は心底嬉しかった事
異様な白い髪を、心の底から綺麗だと言って受け入れてくれたのが酷く嬉しかった事
ヴァイオリンを子守唄がわりに聴いてもらえたのは初めてで、少し緊張してしまった事
家族がいなくても仲間がいる、と毎回昼寝の時に言っていた空色が、とても暖かくて驚いた事
揺れる桜の下。隣で苦笑するお前が心底大事そうに俺を見る目が、どうにも苦手で仕方なくて
けれどそれがどうにも嬉しいような憎たらしいような感覚がして、それを毎回誤魔化してしまったこと
瞼を閉じているのに、なんだか自然と浮かんでくる光景が、グルッペン達と秋瀬と結弦がいる談話室
あぁ、きっと俺は幸せだったのだ
楽しかったんだな、この三年が、人生に置いて無意識に幸せを感じられた三年だったんだな
それにいま気づくとは、やはり復讐者の最期なんぞ碌でもないな
けれど
これが俺達の復讐だ
意識が落ちる
そして眠りに落ちるより素早い死が、俺と泣き喚く友人を引き剥がした
今ぐらい
お前の幸せを祈ってやるよ
トントン
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1302人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろねこ????(プロフ) - あっ何だ神か…涙がどバッタはなっはっは！！…………ありがとうございます(土下座) (2月20日 21時) (
レス) @page43 id: 265c011d20 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最後めっちゃ泣けました。ハピエン最高‼作者さんいい作品の提供ありがとうございます！ (1月3日 11時) (レス) @page43 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - ワーホリってどういう意味か誰か知ってたりしませんか！！トントンがワーホリってどういう意味なのか誰か教えてくださいませんか！ (12月20日 14時) (レス) @page43 id: c8a05a8ee5 (このIDを非表示/違反報告)
U - やばい、終始涙で文字が読めなかった...他の皆さんの言葉を借りることにもなるけど主人公の心情の動きに私の心もつられてしまう...(ꈨຶꈨຶ) (8月31日 1時) (レス) id: 22e7845591 (このIDを非表示/違反報告)
kami - 今まで見た夢小説の中で唯一ここまで感情移入できる小説 ちょっと泣いた映画とかでもほとんど泣いたことないのに！ (2023年3月2日 17時) (レス) @page27 id: d5de597dcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年6月10日 21時
