第56話 ページ12
貴方side
身体を作ろうにも作れず、ひどく疲れていた俺がたどり着いたのは自宅だった
自宅、と言っても、爆発で跡形もなく消し飛んでしまっているのですけれども
ふわふわと浮かんでいる魂を見つけて「あぁ、貴女ですか」と小さく呟けば
悲しそうに漂う彼女
「巻き込まれてしまったのですね」
「護れなくてすみません」
聞こえないとはわかっているものの、溢れた言葉はそのまま出て消えた
回収しようと思い、水晶を取り出そうとすれば、薙刀に変形させた後
撃ち飛ばされ行方不明になってしまったことを思いだした
こんなことならローブを変形させればよかったなぁ、なんて思っていたら
誰かが、橋を渡る音が聞こえてきた、不思議に思い、振り返る
その先にいたのは、、、
ひとらんらんさんだった
白い軍服はどこかボロボロで、その手には俺の水晶を握り、立っていた
「ひとらんらんさん、どうしてここに、、、？」
音にならない声が溢れてそう問いかける、その音が聞こえたかどうかはわからないけれど
彼はひどくなさそうな顔で俺の自宅跡地を眺め、こう言った
ひ:A、、、。Aごめんね、信じてやれなくて、ごめん。
殴られたっていいからさ、なんなら撃たれたっていいから、出てきてくんない？
俺がいる場所とは違う場所を見ていることから、彼にも視えていないことがわかった
つまり、俺がいるかどうかもわからないのに、ほぼ勘で、声をかけたのだろう
あぁ、悲しいなぁ。今更呼ばれても悲しいだけなのになぁ、、、
今更信じられても、辛いだけなのになぁ
でも、人間は間違える生き物ですもんね、俺だって間違えるんですから
一回の失敗くらい、忘れてやるくらいの器を持たなきゃ何百年も生きていけませんからね
仕方ない、許してあげましょうかね
貴:ひとらんらんさん
ひ:！、A！！どこ？？
貴:、、、痛みがひどくて、ヒトになれないので、今は、、、片手だけで許してください
どうにかこうにか力を集めて右手だけを作り出し、ひとらんらんさんの熱い手を握った
ジユッ、という音と同時に手が焼ける、痛みはなぜかなかった
音に驚いたひとらんらんさんがポケットに入れていたらしい自分の白手袋を俺につけてくれた
それになにも言わない俺に、ひとらんらんさんはなにも言わずに手を引いて歩きだした
たった一言
ひ:一緒に帰ろう
そう言って
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ゆき - あ…作者さんありがとうございます。(T^T) (1月4日 14時) (
レス) @page28 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ - 涙やばい…(´；ω；｀)ｳｯ… (12月2日 15時) (レス) @page28 id: 867516ea99 (このIDを非表示/違反報告)
白夜(プロフ) - 海老天2さん» んふふw (2022年12月5日 15時) (レス) id: 97f8f3a74e (このIDを非表示/違反報告)
海老天2(プロフ) - 白夜さん» やめて…もっと泣かせないで… (2022年12月4日 22時) (レス) id: 33cb616463 (このIDを非表示/違反報告)
白夜(プロフ) - 海老天2さん» ……アフレコしながら読むともっと泣けますよ… (2022年12月4日 10時) (レス) @page28 id: 97f8f3a74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月25日 1時
