【wrwrd！】占い師で死神な彼と我々だ！II【男主】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:17 hit、合計:201,272 hit

第55話ページ11

貴方side

叫び声をあげ、その場にうずくまる黒傷、例え光に慣れていたとしても

この夕暮れの光だけは、慣れられる筈がない、そう思ってした行動

でもどうしてでしょうか？抵抗した黒傷によって俺の布も取られたのにちっとも眩しくなかった

黒傷の首には思った通り、13年前、ひとらんらんさんによってつけられた傷跡があった

それを見たひとらんらんさんのいや、皆さんの瞳が驚愕に見開かれたのを俺は見た

あぁ、これからお前がどうやって言い訳するのか、聞いて見たい気持ちもありますが

もう無理ですね

手も、足も、何もかも、全てが崩れそうで、痛くて、、、痛くて、、、

いつの間にか目も痛くなってきて、でも、意地で開き続け、黒傷に言ってやった

貴:よく、のうのうと、、かれの、となり、に、いられ、ましたね？

おまえ、が、かれの、ぶか、を、ころし、た、くせにっ！

はぁ、はぁ、と、なんとか息をしながら、痛む傷を抑えてニッコリと微笑み

貴:死ぬなら道連れだ、お前も死ね(ﾆｯｺﾘ)

背にあの色彩を背負い、光に目を潰した黒傷に向かってそう言った

ポタポタと地に透明な雫がアカと共に落ちて、ゆっくり消えた

その瞬間、風が吹きお互いの身体が崩れ、俺は視える人でも見ることができないほど薄い霧となった

ーーーーーーーーーー
no side

みな、その場で呆然とそれを見ていた、何も出来ず、只々、その光景を見ていた

『死ぬなら道連れだ、お前も死ね』

目尻に涙を浮かべ、血に染まった胸を抑え、笑いながら、血とともに吐き出すように言葉を吐いたA

夕暮れの空と同じ、透き通った綺麗な瞳がチラリとこちらを見た後、そのガラス玉のような瞳から一筋の涙を流し

彼は消えた

黒も消えた。逃げたのだとすぐにわかった。でも、Aの事はわからなかった

ひとらんらんは逃げる黒い霧を見た、それが黒である事はなんとなくわかったけれど

視えた霧は一つだけで、もう一つはいくら目を懲らそうと視えなかった

皆、驚きと、怒りと、憎しみと、悲しみと、喪失感でなにも出来なくなっていた

黒を追い、殺してやりたい気持ちと、なぜAを助けなかったのか、という問い

この二つがぶつかり合い、訳がわからなくなってしまっていた

日が完全に落ちたその時。誰かがポツリとこぼすように言った

「いったん帰ろか」

その言葉にそれぞれがなにも答えず要塞へ向かって歩き始めた

違う方向へ歩き出したひとらんらんに気づかずに