…73… ページ28
貴方side
遠くでなにかが爆発した
それに合わせて通話が切れてしまった。どうやら回線が落ちたらしい
ガラガラと崩れ始めた基地の中を、ただ静かに歩き回った
なにをするでもなく、ただ、静かに襲いくる死をゆったりと待っていた
怖いとは、思わなかった
ただ、涙が止まらなかった
死にたくないんじゃない、そんなんじゃない、違う、違うんだ、そう、これは
今更、失ったものの大きさに気がついてしまっただけなのだから
もっと一緒にいたかった、もっと共に過ごしてみたかった
あんなに楽しいところは、きっとない
ナーシャにだってもっと優しくしてやればよかった、居なくなって、寂しいと思った
悲しいと思った
俺より先に死んでほしくなかった、俺より長生きしてくれると思ってた
居なくなるなんて思ってなかったんだ
人間、どれだけ強くても、死ぬときは死ぬって、自分がよく知ってたくせに
あぁ、悪役らしい最後だ
瓦礫に埋もれて、誰にも見つからないまま、ゆっくり静かに死んでいく
天井が落ちてきて、壁が崩壊して
爆発音と共に意識も飛んで行った
まるで冷たい水の中に蹴り落とされたかのような感覚がして、体が動かない
息はしているが、それも微かで、すぐにでもやめてしまえそうだと思う
こんな時に限って思うことといえば
幸せんなれ、とだけ
俺が言えたことではないのだろうが、俺の部下だからといって差別はされないはずだ
幸せに生きればいい
もうお前らを縛るものは何もないのだから
うるさい上司もいない、嫌がらせをしてくる相手も、いなくなる
桜花部隊になんぞ入らなくても良くなる。この国は変わるだろう
どうだ、やってやったぞ
俺一人で、軍を壊してやったぞ
その代償に、一人で死ぬことになったとしても、俺は一向に構わない
もうなにもかも煩わしいのだ
このまま沈んで、沈んで、水底で静かに眠れるのなら、それもそれできっと
『俺はそういうの良くないと思うのぜ』
ナーシャ、、？
『A、起きて、目を開いてみるのぜ。そしたらそこに答えがある』
お前になにがわかるこのポンコツ！俺はこのまま寝る！もういいんだよ。
『そう思ってんのは、Aだけみたいだぜ。いいから、目、開けてみ？俺もそっちで待ってるから』
え、と言う前に、自然と鉛のように重たい瞼が上がって、まっすぐに、見たことのある文字を捉えた
その「神」って書いてある布
インパクト強いですね、今更だけど
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき - とてもいい作品でした。作者さんありがとうございます！ (3月4日 20時) (
レス) id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ - 無理だ…これは泣くよ…( ；∀；) (2月12日 9時) (レス) id: 867516ea99 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 号泣して頭痛がァ…。ナーシャの生死ははっきりと確認されてなかったから望んではいたけど皆死んだって言ってるから…。ゔｳﾞ~~~(泣)幸せになって良かったよォ主くんんんんん…！！お疲れ様でした！！！頭いてぇ…w (7月15日 0時) (レス) @page32 id: ffe5a6a019 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 神作品をありがとう！！！！（初コメですすいません）番外編とかないですか！？ (7月10日 18時) (レス) @page32 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ - ナーシャのキャラめっちゃ好きだーー！！ (2023年4月27日 23時) (レス) @page32 id: 8fec33f08b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年3月14日 14時
