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Stage4 ページ6

stage4

珈琲を飲み干してAがリンクへ向かうと、ちょうど西郡がスケオタ娘三姉妹を捕まえながら、勇利達に声を掛けたところだった。

「そろそろ後がつっかえてるから譲ってもいいか?」

その言葉に優子さんと勇利くんがこちらを見る。その視線に気まずさを覚えながらリンクへ入る。勇利くんがごめんとか何かを言っているようだったが、私にはもう何一つ聞こえていなかった。
中央へ辿り着くと目を閉じてポーズを取る。するとスケオタ三姉妹が待ってました!と言いたげに曲を流す。

Aが再び目を開くとそこは私にとっての戦場だった。

最初はほんの些細な想いだった。ほんのりの疑心と日常の喜びを表現する。柔らかくだけど、それが固く重くなっていく……そんなステップを踏み続ける。
腕から指先は槍や弓のように。身体は戦場を焼き尽くす炎を纏って絡ませるように。ジャンプも技巧的に高難易度のアクセルを飛んでいく。最後に、スピン。この場の全てを切り裂くように鋭く。
音楽の終わりと共にピタリと止まる。まるで最初からそこに居たかのように。
動と静が共存した激しいプログラムだ。

「「「この間のGPファイナルのFS!!!」」」

スケオタ三姉妹が目をらんらんと輝かせて叫ぶ。横の優子はかっこよかぁ!と感嘆を漏らす。

「まるで綺麗に戦っているみたいやぁ……。」

勇利は首を傾げる。いや、違う。もっと深い何かを感じる。まるで、執着に近いなにかを。

「恋焦がれる……。」

勇利が零した言葉に西郡は驚きを隠せない。氷上へ上がる前にAは彼にだけ教えてくれたのだ。

――これは恋をしたとある女の子の物語よ。
それを聞いた西郡はもろお前じゃねぇかと言った。Aはそれに答えなかった。寂しそうに笑うだけで。
恐らく、自分の恋愛に対する楽しみも悲しみも全て詰め込んだのだろう。勇利が優子に捧げたプログラムと一緒で。それが勇利には伝わったのだろうか。

「不器用だな。」

お前らはお互いによ、と西郡は氷上から陸へ上がる少女を見つめながら呟いた。

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岡崎雪(プロフ) - うたプリ大好き?さん» 長々と放置気味で申し訳ございません。本日更新いたしましたので、もしよければご覧下さい。 (2017年7月27日 2時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています(笑) (2017年3月16日 0時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
岡崎雪(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。主人公には伏線が多いため、設定ページを設けておりません。職業についてはStage3まで読み進めて頂けたらわかるかと思います。 (2016年12月28日 12時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主の職業がよくわからないです (2016年12月28日 12時) (レス) id: 6025f4bd80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:岡崎雪 | 作成日時:2016年12月27日 0時

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