Stage21 ページ23
Stage21
「ごめんね。」
謝罪を口にしながら窓を開けると、勇利は顔は赤く、息が荒かった。やっぱり寒い思いをさせてしまったのだと、口を開こうとすると彼は違うんだと言った。
「寒いとかじゃなくて急いで来ちゃったから……その少し」
バテちゃって、と決まりそうに苦笑する。カッコ悪くてごめんね?と言われるがAは全くそんな事を思わなかった。
「そんなことない!」
そんなことないよ、だって勇利くん、私のために来てくれた。期待してしまってもいいのかな?いや、でも勇利くん優しいし。でも、
――王子様みたいだった。
Aが超高速で妄想に限りなく近い思考を巡らせていると、勇利がおずおずと口を開いた。
「あ、あの……。」
「ん?」
「……ぉ、王子様……って」
「え」
Aが言っちゃってた?と聞くと林檎のように真っ赤な顔がこくん、と縦に動いた。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!はずかしか……。」
このロマンス的欲望がダダ漏れなんて、穴があったら入りたい。Aは手で顔を覆うことしか出来なかった。
勇利の方はと言うと、Aに言われた言葉に同じように恥ずかしくて、嬉しくて、反応を返せていなかった。すると苦し紛れにAが呟いた。
「ち、違うもん……」
「違うの?」
それはそれでショックだ。と思って思わず返すとまたAは慌てだす。
「違うの?」
珍しく自分の言動に振り回される可愛らしい彼女を見るのが楽しくて、つい勇利は意地悪をしたくなってしまう。もう一度問いかけて、Aの手を掴む。指を一本一本絡めとるようにして外していく。真っ赤な顔が出てきたところで勇利はAをのぞき込んでみる。Aはう、とかえ、とか言葉にならないものを漏らした後に、
「ち、違わない……。」
Aにぷいっと目を逸らされてしまった。そんな彼女がますます可愛らしく思えてくる。ああ、こんなにも立場が違うだけでグッと来てしまうものなのかと思いながら勇利はその優越感に浸っているのだった。
85人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
岡崎雪(プロフ) - うたプリ大好き?さん» 長々と放置気味で申し訳ございません。本日更新いたしましたので、もしよければご覧下さい。 (2017年7月27日 2時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています(笑) (2017年3月16日 0時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
岡崎雪(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。主人公には伏線が多いため、設定ページを設けておりません。職業についてはStage3まで読み進めて頂けたらわかるかと思います。 (2016年12月28日 12時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 夢主の職業がよくわからないです (2016年12月28日 12時) (レス) id: 6025f4bd80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:岡崎雪 | 作成日時:2016年12月27日 0時