Stage15 ページ17
Stage15
数日後、Aはヴィクトルと勇利の練習に時々参加したりするようになっていた。
「コーチが居ないんだったら俺がしてあげようか?」
というリビングレジェンド様からの有難いお申し出があったのだけど、ノーセンキュー一言で丁重にお断りした。
今日は段々細くなってきた勇利くんがベンチでジャンプの軸を整えていた。私はその横でイヤホンから聞こえる音に合わせてステップの練習をしている。
勇利が着地の時の体勢を真っ直ぐに意識しながら飛んでいると、ヴィクトルが話しかけてきた。
「勇利はミナコが好きなの?」
さっきまでミナコ先生との関係の経緯を話していたせいなのか、突然そんなことを聞かれて動揺する。まさかと即座に否定するとヴィクトルは怒涛の質問責めをしてきた。
「恋人はいるのかい?」
「ノー」
「昔の恋人は?」
「ノ、ノーコメント……。」
「好きな人は?」
一瞬、後方でリズミカルに地面を蹴り続けている少女を見てしまう。会話の内容を聞かれていないだろうか……。
「Aが好きなのかい!?」
ヴィクトルがいきなり大声を出すもんだから、思わず口を手で塞ぐ。元から色気があるからくぐもった声がとても色っぽい。
「聞かれたらどうするの!!」
焦った様子で勇利がヴィクトルに耳打ちするとニヤリと笑っている。もしかしなくても、この慌てぶりを見て楽しんでいるようだ。
「聞いてないよ。」
練習に夢中だからね、ほら。とシュッと整った顎でAの方を示すと、彼女は止まった様子もなくステップを踏み続けていた。
音が無くてもまるで流れているような、臨場感あふれるステップは流石歌手といったところか。笑顔でリズムを刻み続ける姿は勇利の目を惹き付けるのには充分で。彼女が跳ねると勇利の心臓も跳ねる。それに気付いた時、勇利は自覚してしまった。
――僕は、Aちゃんが好きなんだと。
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岡崎雪(プロフ) - うたプリ大好き?さん» 長々と放置気味で申し訳ございません。本日更新いたしましたので、もしよければご覧下さい。 (2017年7月27日 2時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き楽しみにしています(笑) (2017年3月16日 0時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
岡崎雪(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。主人公には伏線が多いため、設定ページを設けておりません。職業についてはStage3まで読み進めて頂けたらわかるかと思います。 (2016年12月28日 12時) (レス) id: 0853e273f8 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 夢主の職業がよくわからないです (2016年12月28日 12時) (レス) id: 6025f4bd80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:岡崎雪 | 作成日時:2016年12月27日 0時