僕の名前をキミは知らない。 (ページ5)

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お昼休み。

「それにしてもびっくりしたよ、Aが階段から落ちたって聞いたときはどうなることかと」

私、階段から落ちたんだ…

「なんで、落ちたの、私…」

「え？覚えてないの？」

「うん…」

「まあ、無理もないよね。頭打ったみたいだし、テヒョンが最初に見つけたみたいだけど」

「そうなんだ…」

私は、ソヒと仲がいいみたい。

心なしか記憶はないけど、ソヒとは気軽に話せる。

「それにしても、あんたなんか変わったね」

「え？」

「前は大声で笑ったり話したりしてたのに。今はなんか、喋る人形っていうか……ま、あんな怪我して無理もないんだけど、大事に至らなくてほんとよかったよ」

「うん…」

前の私は、どんな人間だったのかな……

「A、今日サッカーあるから、待っててよ、7時くらいには終わるから」

「あ、うん」

テヒョン、サッカー部なんだ

「頑張ってね」

「おう」

そう爽やかな笑顔で部活に行った。

あんなにかっこよくて、サッカー部なんてさぞかしモテるんだろうな。

どうやって私は、あんなかっこいい人と付き合えたんだろう…

「そういえば、…」

机の中にたぶん私が読んだまま、返していない本があった。

時間あるし、返しにいこう

私は、図書室に行くことにした。

といっても、図書室なんてどこにあるか分からないんだけど。

適当にフラフラしていると、図書室という表示があった。ここだ

図書室は、電気がついていなくて暗かった

「すみません、長く借りてたみたいで」

黒髪の、熱いメガネをかけた人だった
図書室の係みたいだ

本を返そうとして、彼と手が触れた瞬間

''その本、好きなの？''

なに今のっ……………

声が、頭の中から聞こえた………

これは、目の前にいる彼の声？

「あの、」

「はい？」

彼の熱いメガネから、視線を感じた。

「あなたの記憶の中に、私はいますか？」

や、なにいってるんだろう、私、これじゃあただの変人……そう思って、口を手で隠す

「すみません、やっぱり今の忘れて下さい」

そう彼に背を向けた。

「あなたの記憶に僕がいなければ、いないんじゃないですか」

そう後ろから聞こえた。