僕の名前をキミは知らない。 (ページ2)

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「早く退院できてよかったな」

見慣れない道を歩く。

もう夕方で、夕日が赤く燃えていた

「あの、私………」

記憶がないこと言った方がいい、よね

「うん？」

「昔の記憶があまりなくて。あなたが誰なのかも、まだよく思い出せなくて……」

「なに、言ってんの。さては、まだ怒ってるな」

そう彼は私の頬をつねった。

ほんとに、なにも思い出せないのに…

信じて、もらえてない

「ほら、もうすぐお前の家」

「あ、うん」

すると、彼はアパートを上っていき、鍵を出して開けた。

どうして、私の家の鍵、彼が持っているんだろう

彼氏、だから……？

「ここが、私の部屋……」

ピンクで揃えられた女の子らしい部屋だった。

ドライヤー、歯ブラシ、花瓶にいけた枯れた花

そこには確かに生活感があった。

「じゃあ、疲れたと思うから。ゆっくり休んで、俺はもう帰るから」

「うん…」

「また明日、学校で」

「学校？」

「そうだよ、明日月曜日だろ。まだボケてんの」

そう彼はカレンダーを指差して、笑った

私、学生だったんだ

「朝迎えにくるから、準備して待ってろよ」

「うん…」

そう言って、彼は帰っていった。

結局、彼の名前分からなかったな……

あなたの名前は何？