僕の名前をキミは知らない。 (ページ1)

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記憶喪失ページ1

「よかった、目が覚めたみたいで」

目を開けるとそこは白い天井だった。

そして、私の左手は暖かい。

眩しい光が反射する中、左を見ると誰かがいた。

「よかった、ほんとよかった」

その人はそう言って、私の手をぎゅっと握った。

その人は男の人だった、男の人の低い声

金髪で、よく見ると綺麗な顔をしていた

「えっと、」

この人は誰だろうか。

彼は私を知っているんだろうか。

「A、なにが食べたい？りんごならあるからむくけど、食べる？」

「はい…」

「はい？」

この人は、誰？

「はい、Aが好きなうさぎさんのりんご」

目の前に出されたのは、うさぎさん

私は、うさぎさんのりんごが好きだったの？

「ありがとうございます…」

「その敬語、全然面白くないんだけど」

別に笑わせようと言ったわけではないけど…

「ごめんなさい…」

「なに？敬語ごっこ？まだAあのこと怒ってんの？」

あなたは、私を怒らせたの…

どうしよう、なにも分からない…………………

すると、ドスンとベッドが沈んだ

彼が私の寝ているベッドに座った

そして、彼は私を抱きしめた。

ぎゅっと強く、優しく

どうして、あなたが私を抱きしめるの？

「あの時はごめん、許して」

そう言うと、私の唇に生暖かい感触が伝った。

キス、された……

「目、覚めた？」

そう彼は、ごく自然に笑った

なんで、キス…………

知らない人とキス

「なんでそんな顔赤いの？初めてじゃあるまいし」

初めてじゃ、ない……

じゃあ、あなたは私の……

「もう付き合って、一年経つのに」

この人は、私の、恋人____________

「先生が、今日には退院できるって。荷物は俺がまとめるから、夕方には帰ろうか」

今わかったことは三つ

私の名前は、A

何かの理由で入院していた。

そして彼は私の恋人________________