Spring Breeze (ページ42)

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亮平side

海からの帰り道、向井くんが突然

康二「阿部くん。手繋いでいい？」

俺は、握手した時に感じたあの温かさを
もう1回感じたくて

「いいですよ。」

そう言うと、向井くんの細くて
やっぱり温かい手が俺の手を掴んだ。

康二「ありがとう。夜、ちょっと苦手でな。手繋ぐと安心するねん。」

「向井くん、明るいから夜似合わない気
がします笑。」

康二「ハハッ。なんやそれ笑。」

そんなくだらない会話をしながら歩くと
あっという間に施設に戻ってきた。

施設に入る前に、向井くんは
俺の手を両手で握って言った。

康二「阿部くんさ、敬語やめようや！それに、向井くん呼びも！呼び捨てでええよ！なんか硬いし。」

「そうですか…？」

康二「うん。だって、もう"友達"やろ？？」

さっきまで止まっていた涙がまた出てきた。

俺には、友達と呼べる友達なんていなかったから。

康二「阿部くん！涙のダムまだ治ってないんか？笑。ほら！笑って、な？」

「うん！」

康二「俺も、阿部くんって呼ぶのやめようかな？
阿部くんは、なんか阿部ちゃんって感じがするねん。」

「なんでそうなるんだよ笑。」

康二「あー！阿部ちゃんが笑った！！」

この日から康二は俺の大切な親友になった。