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(亮平、康二施設時代編)
亮平side
俺の親は交通事故で死んだ。
俺はちょうど保育園にいて、
その迎えに行く時に起きた事故に
巻き込まれたのだと聞いた。
その頃の俺は、小さいながらも親がいなくなって
しまったことを理解し、亡くなった日から
葬儀が全て終わるまで泣きじゃくっていた。
そして、倒れた。
目が覚めてからの俺は感情を出さない
子どもになってしまった。
両親が亡くなり、俺を誰が引き取るのかという
問題になったが、両親共に親戚が少なかったというのもあり、すぐ施設に入ることになった。
施設に入ってから10年ほどが経ち、俺は15歳に。
そろそろ、独り立ちを考える時期になった。
この10年間、感情を出さない所は変わらなかったが、勉強だけは得意で、来年は高校進学を
考えていた。
世間では、Ωはαにもβにも色々なことが劣っていると言われているが、俺みたいにΩでも頭がいい人間はいるわけで、
東京にΩ専用の進学校が数年前にでき、そこに行こうと思っていた。
施設は千葉にあり、通えない距離ではないが、
そろそろ本格的にアレが始まってくる時期でも
あったから、東京に家を借りて一人暮らしを
しようというように考えていた。
その考えを施設長は理解してくれて快く承諾してくれた。
施設長「亮平くん。出ていく前にさ、連れて行きたい所があるんだけど、いい?」
こんな俺をずっと支えてくれた施設長の願いを
俺は聞き入れた。
「どこに行くんですか…?」
施設長「うーん。内緒!来週の土日、予定空けておいて。」
施設長は、ニコニコしながらそう言った。
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作者名:曜 | 作成日時:2021年1月27日 21時