Spring Breeze (ページ32)

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照side

大介「阿部ちゃん…？」

赤信号で止まっている車の中

運転席の先輩が阿部くんを見て言った。

信号が青になり、車が走り出すと
阿部くんが前を向き、座り直す。

亮平「言葉の通りだよ。俺は応援できない。」

阿部くんの話す声は冷静で
しっかりとした声だった。

でも、納得できない。

なぜ応援できないのか理由が知りたかった。

「なんで、応援できないんですか…？」

すると、また冷静に

亮平「俺とさ、康二だけのね。夢があるの。」

「夢…。」

亮平「うん。その夢をね、俺は絶対叶えるし、康二と誓ったの、自分で叶えるって。でもね…でも、」

阿部くんは、泣いているのか少し掠れた声で
言った。

亮平「俺は…俺以上に康二にその夢叶えてほしいって思ってる。だから、その夢叶えるために康二にも一生一緒にいられる人が必要、それもわかってるんだけどね。」

しばらく、誰も話さない時間が続いた。