chapter2 / 彼はサッカー馬鹿 ページ2
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「潔くんとは最近どうなの?」
放課後、帰る支度をする私に近づいてきてニヤニヤしてそう聞くのは仲のいい私の友達。彼女はどうやら恋バナが好きみたいで、ことあるごとに私と幼なじみである潔世一との恋愛事情を聞こうとしてくる。
でも。
「いつも通りだよ。」
世一はただの幼なじみだから、あいにく彼女が望むような話は提供できない。特に彼のことを意識したこともないし、向こうもそれは同じだろう。世一はサッカー馬鹿なのだ。
出会ったのは3歳。同じ幼稚園に通っていて、2人1組で自己紹介をしよう、と先生が提案したそのペア。
彼と幼なじみになれたことは、正直に言えばとても嬉しいし、彼も彼の家族も私にとても優しくしてくれる。
世一のお母さんなんて、合鍵いる?とまで言った。そこまでしなくても。
まぁとにかく、世一は良い幼なじみである。
「ええ〜そればっかじゃん。ていうか潔くんは絶対Aのこと好きでしょ。」
「それはありえない。」
「いやそうだって!Aにだけゲロ甘じゃん。」
「うーん…昔からお世話…?してくれてたからじゃない?」
「はー????昔からあんななの?羨まし。」
何を言ってもこの調子である。
この子は人間が発した言葉全てを恋愛に変換する能力を持っている。そういうことにしよう。
今日は世一は部活で、今度ある埼玉県大会の決勝に向けて追い込みらしい。ワンチーム、だっけ?あぁそれは別のスポーツ?えーっと、ワンフォーオール、オールフォーワンだっけ。
1人はみんなのために。みんなは1人のために。
なんだかそれはサッカーはチームスポーツ、という概念をゴリゴリに固めて溶かせないように縛り付けているように感じるけど。まぁ、それで決勝まで行ったんだ。いいんだろう。
「潔くん見てくの?」
「そうしようかと思ってたけど…」
「じゃあ一緒に見てくよ!私ちょっと気になる人いるし!」
「へぇ。多田くん?」
えっなんで分かったの、と彼女。
見てればわかるよ。あんなに目で追ってたから。
教室から出てグラウンドが見える廊下の窓に向かう。
世一が今日は一緒に帰ろうと言うから、私は待っていることになった。
どうせなら私が部活のある日にしてくれればいいのに。と世一に言ったがどうしても今日じゃないと無理らしい。
サッカー部は多忙だ。
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ろくなな(プロフ) - 由梨さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいお言葉ありがとうございます😢精一杯がんばります、本当に嬉しいです!! (2023年1月8日 14時) (レス) id: f3081647b7 (このIDを非表示/違反報告)
由梨(プロフ) - コメント失礼します。この作品の潔くんと夢主ちゃんの無自覚気味の共依存っぽさがとても魅力的というかなんというか、本当に素敵で即お気に入りさせてもらいました...めっちゃこの作品好きです!!投稿頑張ってください!応援してます☺️長文失礼しました... (2023年1月7日 23時) (レス) id: 36137ec559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろくなな | 作成日時:2023年1月7日 17時