日常101 少女の名 ページ24
「ここまでくれば大丈夫だ。」
「ここは?」
「俺の隠れ家さ。」
「次から次へと何なんじゃ…」
盗賊の隠れ家に逃げ切りようやく三人は一息つく。
少女は自分を助けてくれた男の顔を見て気づいた。
「お主!船の男じゃな?」
「あぁ。手当てしてくれたこと感謝する。」
「それを言うなら、わしの方じゃろう。危ない所を助けてもらった。そちらの綺麗な男もありがとうな。」
少女の礼を聞き、元王様と盗賊は少し微笑む。
少女は明るい笑顔で自己紹介を始めた。
「わしの名はカニスじゃ。よろしくな。」
「余は…名を捨てたんだ。」
「俺には名前がないな。」
少女は名乗るが、元王様と盗賊は名乗る名がない。
元王様は自由が欲しくて星を飛び出したこと、盗賊はもう生きていく意味がないことを少女に話す。
少女はそんな二人に驚いた後
「名がないのか…そうじゃな、レクスとラトロー何てどうじゃ?」
「好きなように呼ぶが良い。」
「俺も何でもいい。どうせもうすぐ死ぬんだ。」
少女の提案で元王様が<レクス>、盗賊が<ラトロー>に決まった。
名が決まったところで少女は二人に言う。
「二人は命の恩人じゃ。」
_そんな二人に一つ贈り物をしよう。
そう言って少女は外へ出て両腕を広げた。
すると宙から一つの船が落ちてくる。
レクスとラトローはその光景に目を見開く。
何もない宙から船が落ちてくるなんてありえない、と言った表情である。
「わしは、出来損ないの魔法使いでな、船しか出せんのじゃ。」
少し申し訳なさそうにはにかんでで少女は言う。
二人にはその太陽のような笑顔が眩しかった。
「そこでどうじゃ?」
少女は一つ提案を二人にした。
_レクスには自由をやろう。この船の行き先は自由じゃ。お主が決めて良い。
_ラトローには友をやろう。わしが今からお主の友じゃ。退屈などさせん。
「だから一緒に旅をしないか?」
少女は二人に手を差し伸べる。
二人はまた目を見開いた。
この少女の手を掴んで旅に出たら、今よりは幾分か幸せになれるのだろうか。
_この少女に賭けてみても良いのだろうか。
二人は同時に少女の手を取った。
少女はやはり太陽のように微笑み、二人を船へと導く。
この少女が羅針盤だ。
右側が水晶左側が砂の星の左側から一隻の船が出発した。
この船の行き先はどこになるだろうか。
それは誰も知らないのだ。
隅っこの星で科学者が宙を仰ぐ。
まるで流星のような船がこちらに近づいてくるのが見えた。
525人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪の女 - Stellaが良すぎましたありがとうございました (2023年3月29日 9時) (レス) @page29 id: f50a0ac3bb (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^)芋けんぴさんの作品楽しく見させていただいてます。話の続きも是非読ませていただきたいです。 (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽 - 初めまして。こんにちは(^^) (2022年10月12日 16時) (レス) @page50 id: 7d7f47de01 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - ねむさん» ねむ様、コメント及びご指摘をありがとうございます。完全なる打ち間違えです…。そのせいで寂雷さんが凄くネガティブな人になってました…。現在、訂正させていただいています。意味までご丁寧に教えていただき勉強になりました。改めてありがとうございました。 (2021年7月19日 15時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 日常107出発のmourningは悲嘆,哀悼 、哀悼の意を表すこと、喪服,喪章という意味(コピペ)ですよ。朝はmorningです。 (2021年7月19日 9時) (レス) id: 2b048548d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年8月3日 20時