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智くんが、珍しく本を読んでいる。
最初はものすごく体調が悪いか、気が狂ってしまったのかと思ったけど、そうではない様子。
あんなに嫌っていたのに
どうして本なんか読む気になったのか。
『アンネの日記』は、前に読んだことがあるけど、内容を忘れてしまったのでもう一度借りたものだ。
智くんが読むなら、俺はべつに読まなくても構わないので、好きに読ませておく。
それにしても、遅読である。
見開き1ページを、うんと長い間開いている。
アンネは15歳の女の子にしては相当な表現力を持っていたため、その日記は読み物として重量のあるほうだとは思うけど、
それを鑑みても、少女の日記を読むにしては、遅すぎるペースである。
貸出期限を延長しないといけない気がする。
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智「ねえ翔くん」
朝。
智くんがいつもより早めに起きて読書にふけっているので、俺もなんとなく早く起きて
優雅にネクタイの種類なんて選んでると、ムッツリ静かだった彼君からお声がかかる。
翔「ん？」
ソファを見ると、智くんが持っている『アンネの日記』は、4分の1ほど読み進んだところだった。
…あのゆっくりなペースで読んで、もう4分の1？？
一晩じゅう読んでたのか？
まさか。
智「"黄金の中庸"ってどうゆう意味？」
分からない言葉があったらしい。
俺はその答えを用意しながら、さりげなく顔色を見る。
とくに寝不足な感じをうかがわせない顔色ではある。信用できないけど(都合よく発揮されるポーカーフェイスがあるため)。
翔「あぁ……中庸っていうのは、真ん中ってことだよ。過不足がなくて丁度いいこと」
智「………」
翔「なにが分かんないの？」
智「ここ」
翔「んー…？…あぁ……これはね多分…---」
智くんは単語の意味が分かっても 前後の文脈と照らし合わせて理解することが出来ないらしく、多少ムスっとする。
だけど簡単な言葉に換えて読んでみせたら、理解したのか、ふうん、と笑って読書に戻った。
教師になった気分だ。
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〇月×日 くもり
アンネは、日記を、誰かにあてた手紙みたいにして書いている。
だからいつも最初に、『親愛なるキティへ』と書いてある。キティっていうのは日記帳の名前らしい。
女の子だから、日記帳に話しかけたり名前をつけたりするのかもしれない。
でもアンネの日記はひとの悪口ばかり。
翔くんに、言葉の意味を何回も聞いてしまう。でも全部分かるまで教えてくれる。
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きんにく(プロフ) - 那智さん» 那智さん！わ〜〜、架空の映画です(笑)架空すぎて好き勝手に酷評しすぎました。えへへ。呑気な話ですが覗いてくれて嬉しかったです。ありがとうございます！♩ (6月10日 13時) (
レス) id: ed3941cf39 (このIDを非表示/違反報告)
那智(プロフ) - 『エリーとスミスが甘いので』を見たくなって検索してみた。そんなに酷い映画に何故泣ける？って思って。そんで、くだんねーって言いたかったなー。でも好き。 (6月10日 9時) (レス) @page41 id: f47ac2cfea (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - きよさん» きよさん！ありがとうございます。智くんが珍しく本を読んでるハナシを書きたいなぁと思ったらこんな大事になってしまいました😂ここのふたりは優しくて私も好きです。これからものんびり続けていくので飽きるまでどうか宜しくお願いします♩ (5月21日 14時) (レス) id: 7cf4abab0d (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - きんにくさん、お話しありがとうございます。感受性の豊かな智くんには辛い本ですよね。その本心をよみまちがえたと悔やむ翔くん。翔くんの機嫌を治そうと辛い本の話題をしようとする智くん。やっぱり素敵な二人だなと改めて思いました。これからも楽しみにしています。 (5月17日 18時) (レス) @page39 id: dcaa28dbe3 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - oneidnekdndojejさん» えー！わーおもしろかったですか！？ヤッターーありがとうございます！とても嬉しいです🤩拙いお話ですが楽しんでいただけて光栄です。いつもあたたかいお言葉に勇気づけられて書き続ける原動力になってます。こちらこそありがとうございます！ (5月14日 13時) (レス) id: 7cf4abab0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんにく
| 作成日時：2021年12月31日 10時
