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先日、学生時代の同僚から手紙が届いた。
海外派遣で南アフリカに滞在している彼からの手紙に、「お前も来ないか」と書かれてあった。
「行かない」と返事をしたら、「どうしてだ」という旨の、メールが来た。
【そこまで頑なに拒否する理由もないだろう、独身なんだし。そういうものには飛び込むタイプだったと思うけど。
内科医だから尻込みしてるっていうのなら心配ない。麻酔の手伝いができる。それに応急処置と衛生指導ができればいいんだ。こんなの医者じゃなくたってやれる。養護教諭でもやれる。俺のオカンでもやれる。養護教諭もオカンも、麻酔は打てないけどな】
海の向こうの話だ。自分には関係のないことだと思っていた。
興味がなかったわけではない。
ただ目の前の患者に必死だっただけだ。
【まあここまではタテマエもある。本音を言うと、お前と仕事がしたいんだ。
話もしたい。このまま何もせずに淡々と年老いていくのは、もったいなくないかと思う。
お前ほどの男が、とか、言ってしまうと恥ずかしいんだけど】
ふう、とひとつ息を吐いてみた。
かなり芝居がかった動作かもしれなかったけど、仕方がなかった。知らないうちに心臓が高鳴っていたのだ。
手元の資料は、まだ開いていない。
少し昔の、難民医療に関する報告書。
これを開いて読んでしまった、その後の自分を想像して、心臓がどくどくと鳴っている。
どうしてこんなに興奮しているのか、よく分からない。
焦っているわけではない。怖気づいているわけでもない。
いや、
怖気づいているといえば、怖気づいている。
【知りたくないか。どんなに世界が広いか。どんなに自分が無力か】
気持ちが高ぶっているということを、認めてしまえば
俺はきっと、海の向こうへ行くんだろう。
その選択をすることに対して、俺は怖気づいている。
【余計なお世話だったら悪かったけど
きっと一生持ち腐れない財産になると思うから】
翔「……経験…財産……」
浮きたつ熱を逃がすように、あてもなくつぶやいてみる。
そのとき不意に、受付のほうで物音がした。人の気配。
「お探しの資料がございますか？」と、受付の女の子が尋ねる声が、ちいさく聴こえてくる。
それに受け応える声は、しどろもどろで、のんびりしていて、聞き覚えのある声だった。
そして、
受付のほうをそっと覗くと、案の定、居るのである。
翔「待ってろって言ったのに…」
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きんにく(プロフ) - 那智さん» 那智さん！わ〜〜、架空の映画です(笑)架空すぎて好き勝手に酷評しすぎました。えへへ。呑気な話ですが覗いてくれて嬉しかったです。ありがとうございます！♩ (6月10日 13時) (
レス) id: ed3941cf39 (このIDを非表示/違反報告)
那智(プロフ) - 『エリーとスミスが甘いので』を見たくなって検索してみた。そんなに酷い映画に何故泣ける？って思って。そんで、くだんねーって言いたかったなー。でも好き。 (6月10日 9時) (レス) @page41 id: f47ac2cfea (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - きよさん» きよさん！ありがとうございます。智くんが珍しく本を読んでるハナシを書きたいなぁと思ったらこんな大事になってしまいました😂ここのふたりは優しくて私も好きです。これからものんびり続けていくので飽きるまでどうか宜しくお願いします♩ (5月21日 14時) (レス) id: 7cf4abab0d (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - きんにくさん、お話しありがとうございます。感受性の豊かな智くんには辛い本ですよね。その本心をよみまちがえたと悔やむ翔くん。翔くんの機嫌を治そうと辛い本の話題をしようとする智くん。やっぱり素敵な二人だなと改めて思いました。これからも楽しみにしています。 (5月17日 18時) (レス) @page39 id: dcaa28dbe3 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - oneidnekdndojejさん» えー！わーおもしろかったですか！？ヤッターーありがとうございます！とても嬉しいです🤩拙いお話ですが楽しんでいただけて光栄です。いつもあたたかいお言葉に勇気づけられて書き続ける原動力になってます。こちらこそありがとうございます！ (5月14日 13時) (レス) id: 7cf4abab0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんにく
| 作成日時：2021年12月31日 10時
