スパイス ページ26
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智「うわ、最悪」
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ぽつ、と呟いた。たぶん翔くんには聞こえてない。
手に取ったカレールーのパッケージをよく見たら、【甘口】と書いてあった。
最悪だ。辛口を買わなきゃならないのを、まちがえちゃったみたいだ。
智「うわー……」
順序良く動かしていた手が止まる。玉ねぎとニンジンとジャガイモを切って、きのこを切って、炒めて、水を入れて、いくつかの適当なスパイスを入れるまで、完璧だったのに。
今日はちょっと指向を変えてみようと思って、違う種類のカレールーにしたのがいけなかった。
いつも買ってるやつは、緑色が辛口なんだけど、今日買った奴は緑色が甘口だった。それで、いつもの癖で緑を取ってしまったのだ。
智「翔くーん…」
こぽこぽと煮え立ち始めた鍋の火をゆるめながら、リビングに居る翔くんに声を掛ける。
そんなに広くないキッチンからリビングを見ると、ソファの上で、膝にパソコンを置いて、何やら難しい顔をしてタイピングしている翔くんが見えた。
仕事中か…
翔「…んー…？」
その「…んー…？」は、俺に対する返事でなくて、目の前の仕事に向けて放ったものだと思う。
翔くんは最近、通常業務に加えて新人の教育もしないといけなくて、忙しいみたい。
通常業務、だけのときでもよっぽど忙しそうだったのに、それよりもっと忙しいなんて、どんななんだろう。
ちょっと怖いのは、それでも翔くんはなかなか嬉しそうにしてるってことだ。仕事が好きなんだね。
智「なんでもない…」
とりあえず、目の前の鍋に甘口のルーを入れてしまうか、鍋の火を止めて、自転車で辛口を買いに走るか迷う。
時計を見たら午後9時だった。遅くまで開いてるスーパーはあるけど、翔くんは明日も朝が早いし、夕飯の時間をこれ以上遅らせるのは気が引ける。
でもまだ迷った。翔くんは辛口が好きなのだ。
辛いものを食べたらめちゃくちゃ汗をかくくせに、それをいとわずに、ラーメンに死ぬほど辛子高菜を入れるのを俺は知っている。
どうしようかな。
ううんと迷いながら、癖で、缶ビールを冷蔵庫から出してぷしゅっとプルタブを開けたら
その音に反応した翔くんが、リビングから
翔「あっ、料理しながら飲んだら駄目って言ってるじゃん！」
と、声を飛ばした。
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きんにく(プロフ) - 山田さん» (続き)気を遣わせてゴメンナサイ。これからも楽しく読んで頂けたらと思います。いつも本当にありがとうございます。ピアニッシモにくださったコメントから、ずっと元気づけられてます。 (2021年10月5日 23時) (
レス) id: 39aa1ff197 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - 山田さん» (続き)書くこと自体は、私にとってとても楽しいことなのです。長く書き続けられたらいいなあとは、心の奥底で思っています(笑)それに、このような言葉を頂くと、なんにも気にせず長く書いていようかなあと思います。単純なのです。とにかくありがとうございますと、 (2021年10月5日 23時) (レス) id: 39aa1ff197 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - 山田さん» 山田さん、わざわざこちらにすみません！あっちのコメ欄が開いてなかったからでしょうか（汗）しかもネガティブなことを言って心配させたようで、重ね重ねすみません。それと、嬉しいお言葉ありがとうございます。しばらくは書き続けます！ (2021年10月5日 23時) (レス) id: 39aa1ff197 (このIDを非表示/違反報告)
山田(プロフ) - きんにくさんの無理のないお気持ちで、きんにくさんの思う彼らをもし拝見することができたならとても嬉しいです。乱文申し訳ございません。ずっと大好きです。 (2021年10月4日 13時) (レス) id: 7341d1decc (このIDを非表示/違反報告)
山田(プロフ) - きんにくさん コメントこちらにて失礼します。きんにくさんの書かれる作品が大好きで、休止した後も何度も寂しさを救ってもらいました。色々と環境が変わる中で簡単に続けてくださいなどと言える立場ではないですが、 (2021年10月4日 13時) (レス) id: 7341d1decc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんにく
| 作成日時：2021年3月3日 23時
