大切なあなた (ページ10)

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マスターのアシスト　悠仁side ページ10

「あ、こんばんは」

「わぁ、いつも応援してます！
こないだのライブもすごくよかったです！
あ、あと今度のライブも友達と行きます！」
一気に話す彼女を見ながら気づけば握手をしていた。

「ありがとう。
次のライブも頑張るから。
楽しんでね」

「はい！
今日、もしかして、
ここでシークレットライブかなにかですか？」

「あ、いや・・」

俺が困っていると
中からマスターがやってきた。

そして出していたボードをなおしにきたのだ。

「あ、北川くん。待ってたよ。
あぁ、ごめんね。
今日はうちうちでね、
集まりがあって、貸し切りだから
入れないんだ。悪いねぇ」

そう言って俺の肩を叩いて
中へ入るよう促される。

「ごめんね。
いつも、応援してくれてありがとう。
またライブで会おうね」

俺が手を振ると彼女は涙を浮かべながら

「楽しみにしてます！！」と
深々とお辞儀をしているのだった。

さすが、彼女の友達だな・・
そんなことを思いながら店内へ入った。

彼女が待ってる。

お酒を頼みつつ、
マスターを呼び止めた。

「さっきはホント助かりました」

「いいや、あれくらいいんだよ。

君は今日、大切な日だろう？
頑張るんだよ」

そう言われて胸がドキドキしてきた。

そうなのだ。

今日は・・・・

「ごめん。ちょっとここで待ってて」

「あ、うん」

彼女に少しお酒が入ってぼぉっとしだした瞬間
俺は立ち上がった。

そして

「僕の好きな彼女を想って描きました。

聴いてください。

かすみ草」

彼女は目を大きく開けたまま固まってる。

これは

俺から君への

最初で最後のラブソングなんだ。