引っ越し完了 厚治side ページ25
うちに帰ったのは22時を過ぎた頃だった。
彼女はまだ起きていてパジャマを着たまま
ダンボールの山と格闘していた。
「あ、厚ちゃん!おかえりなさい!」
そう言って俺に抱きついてきた。
?!!
「・・厚ちゃん、あのね」
「ん?」
「私ね、これからは厚ちゃんに伝えたいことは我慢しないって決めたの。喧嘩になっても・・・
言いたいことは伝えるから、ね?」
「え、急にどうした?なんかこわいな」
「・・真っ直ぐ、向き合えてなかったかも、って思って。
いつも、どこか自分の気持ちに蓋をしてた気がして。
厚ちゃんも・・ひとりで考えないで言ってほしいの」
「あぁ、わかった」
急に沢山話し出した彼女に
俺は少し置いてけぼり感を喰らいながらも
嬉しく思った。
彼女が俺とこんなにもまっすぐ
向き合おうとしてくれてるのだ。
いつもどこか気を遣われているのは気がついていたし
あまり相談もしてくれなかったけど
これからは大丈夫な気がした。
「厚ちゃんと結婚できて
私幸せだからね、なにも不安にならないでね?」
「・・っ」
彼女を抱きしめると
ぎゅっと背中に腕を回された。
「俺も幸せだよ、ありがとう」
彼女の表情が柔らかくて、嬉しそうだから
今日あったことを何も知らない俺は
悠仁に感謝していたのだった。
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作者名:miu | 作成日時:2019年11月4日 14時