大切なあなた (ページ24)

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早くなる鼓動ページ24

「あ、もしもし。そうです、
はい！わかりました。大丈夫です、
ありがとうございます。
お待ちしてます」

ぴっ

「引っ越し屋さん？」
「うん・・あと30分くらいで着きそうですけどいいですかって」
「そうなの？急がなきゃね、これはここに入れたらいいの？」
「あ、うん、ありがとう」

気まずさとか言ってる暇もなく
急いでダンボールに詰め込んだ。

「はぁ〜なんとか間に合ったね」
「ほんと、ありがとう」

「・・せっかくのお休みだったのに、ごめんね」
「何言ってんの、1番幸せな休みだよ」

え？？

「・・じゃぁ、お代金もらおうかな」

「え、あ、うん、いくらですか？？」
財布を探そうとカバンに手を伸ばした。
その手をぎゅっと握られた。
「冗談だよ」

え？？

そう思った瞬間目の前が真っ暗になる。

ちゅ

「・・んっ」

「・・頂戴いたしました。じゃ
俺は帰るね」

「・・・う、ん。
ありがとう」

驚いている間に彼は
目深に帽子をかぶって出て行ってしまった。

1人残された部屋で自分の鼓動だけが響いていて

ひとつ外れたままだったボタンに気づいて慌てて
止め、ドキドキしたまま
引っ越し屋さんを待ったのだった。